精神障害の方が利用できる就労支援にはどんなものがある?内容や利用の流れを解説
統合失調症や双極性障害をはじめとした精神障害の当事者の方で、「働きたいけれど自信がない」「就職活動って何をしたらいいのかわからない」「何か支援を受けながら働きたい」などと思っている方もいるのではないでしょうか。
近年、精神障害のある方が安心して働けるよう、さまざまな就労支援制度やサービスが整備されています。
就職準備から職場定着まで、一人ひとりの症状や状況に合わせて、サポートを受けることが可能です。
この記事では、精神障害のある方が利用できる就労支援の種類や内容、利用までの流れなどをわかりやすく解説します。
精神障害の方が利用できる「就労支援」とは?

「就労支援」とは、意欲や能力があっても、精神障害により、一般企業への就職が難しい方々を支援する、障害福祉サービスの一環です。
就労支援には、障害者総合支援法に基づく「就労移行支援」「就労継続支援A型・B型」「自立訓練」などの障害福祉サービスに加え、地域障害者職業センターやハローワークなどの公的機関による支援も含まれます。
就労に必要な知識の習得から、スキル向上の訓練、職場探し、就職活動、定着支援まで、さまざまな福祉サービスが用意されています。
利用できる精神障害には、統合失調症や双極性障害のほか、うつ病、不安障害、依存症、器質性精神障害、パーソナリティ障害、発達障害などがあり、精神障害者保健福祉手帳を持っているとスムーズに利用が可能です。
精神障害の方が利用できる就労支援の種類

精神障害の方が利用できる就労支援の種類には、次の6つが挙げられます。
- 就労移行支援
- 就労継続支援A型・B型
- 地域障害者職業センター
- 障害者就業・生活支援センター(なかぽつ)
- 自立訓練
- ハローワーク(障害者専用窓口)
以下に、それぞれの内容を順に紹介します。
1:就労移行支援
就労移行支援とは、精神障害の方で一般就労(障害者雇用含む)を目指している方に対し、一般就労のために必要な知識・スキルを向上させる訓練やサポートを行う機関です。
支援内容は、各事業所によって違いがありますが、基礎的なビジネスマナーやPC操作、生活リズム管理、自己理解・障害理解、コミュニケーションなどを学び、身につけるための訓練が主な内容になります。
また、就職活動についても、適性に合った職場探しから、履歴書の書き方サポート、面接対策、面接同行などのサポートを受けられます。
職場体験実習などで、実際の企業の様子や働くイメージを具体化する機会の提供も可能です。
就職後も、長く安定して働き続けられるよう、本人と企業との定期的な面談や、職場環境の調整、生活面での課題解決に向けた相談などができる「就労定着支援」が受けられます。
利用期間は、原則として2年間です。
2:就労継続支援A型・B型
就労継続支援とは、一般企業で働くことが難しい方に、必要な訓練やサポートを受けながら働ける場所を提供するサービスです。
就労継続支援には、A型とB型があり、以下のような違いがあります。
| 項目 | 就労継続支援A型 | 就労継続支援B型 |
|---|---|---|
| 雇用契約 | 結ぶ | 結ばない |
| 賃金形態 | 給与(最低賃金以上が保証) | 工賃(生産活動に対する報酬) |
| 対象者 | 一般企業での就労は困難だが、雇用契約に基づく一定の就労が可能な方 (基本的に週5日働ける方) | 雇用契約に基づく就労が困難な方(週5日安定して働くのが困難な方) |
| 利用期間 | 雇用契約に基づく | 制限なし |
| 目的 | 一般就労に近い形で働くことで、将来的に一般就労を目指す | 自分のペースで働きながら、働く喜びや生活リズムの維持を目指す |
このように、A型とB型では、働き方に大きな違いがあります。
一般就労が難しいと感じている方は、「週5日働けるか」「最低賃金以上の給与が必要か」といったことで選びましょう。
3:地域障害者職業センター
地域障害者職業センターとは、障害のある方に対して専門的な職業リハビリテーションを提供する公的機関であり、障害のある方が自分らしく働くためのサポートをする役割を担っています。
全国47都道府県すべてに設置されており、障害者手帳をお持ちで、就労を考えている方なら誰でも利用できます。
手帳がなくても、医師の意見書や診断書があれば相談可能です。
地域障害者職業センターでは、まず利用者のこれまでの経験や現在の状況、就職に対する希望などをヒアリングし、どんな仕事が合うか、どんな支援が必要かを一緒に考え、個別支援計画を作ることから始まります。
その後、センター内での講習や作業体験を通じて、就労に必要な、基本的習慣(定時の来所、報告・連絡・相談など)、コミュニケーション能力などを身につけるための訓練を行います。
就職後も、ジョブコーチの派遣を通し、スムーズな職場適応と定着をサポートすることが可能です。
4:障害者就業・生活支援センター(なかぽつ)
障害者就業・生活支援センター(なかぽつ)とは、地域において障害のある方の「仕事」と「生活」の両方を一体的に支援する機関で、障害のある方が、働き続けながら安定した日常生活を送ることをサポートするところです。
支援内容は、主に、「就労の支援」と「生活の支援」から構成されています。
就労の支援は、就労前の履歴書作成や面接準備のサポートから、ハローワークなどと連携しての求人や職場探しのサポート、就労後のジョブコーチの派遣まで行っています。
生活の支援は、日常生活全般における悩み、たとえば、「朝起きられない」「決まった時間に服薬できない」「夜更かしが治らない」など健康管理に対するサポートが主です。
また、煩雑な障害年金の申請や障害福祉サービスの手続きなどのサポートも相談できます。
5:自立訓練
自立訓練とは、障害のある方が地域で自立した生活を送るために、必要な能力を向上させる訓練や、サポートを行う障害福祉サービスの一つです。
自立訓練には、「機能訓練」と「生活訓練」の2種類があり、生活訓練には、宿泊型の施設もあります。
訓練の内容は、生活リズムの管理、服薬管理、体調管理、金銭管理などの方法を学ぶこと、コミュニケーションスキルを身につけること、社会生活における基本的なルールやマナーなどを学ぶことなどです。
病院や施設を退院・退所された方、特別支援学校を卒業された方などに、将来的な就労や一般社会での生活に向けた基盤を作るサポートを行います。
利用期間は原則として2年間です。
6:ハローワーク(障害者専用窓口)
ハローワークの障害者専用窓口では、障害について専門的な知識を持つ職員や相談員が、仕事に関する情報を提供してくれたり、就職に関する相談に応じてくれたりするなど、きめ細かいサポートを受けられます。
障害者雇用だけではなく、一般枠の求人を紹介してもらうことも可能です。
障害者手帳を持っていなくても、職業生活に長期の制限がある方で、医師の意見書などがあれば障害者向け窓口で相談できる場合があります。
精神障害の方が受けられる就労支援の支援内容

精神障害のある方が受けられる就労支援の内容は、以下の表の通りです。
| 支援内容 | 詳細 |
|---|---|
| 体調に合わせた通所スケジュールの調整 | 体調や体力に合わせ、通所の回数をだんだん増やすなど調整する |
| コミュニケーションや対人関係の訓練 | グループワークやダイアログ、アサーションなどのトレーニングを通して、コミュニケーションスキルや対人関係スキルを向上させる |
| ストレスマネジメントや服薬管理のサポート | 自分の症状や体調の波に合わせたストレスマネジメント(対処法)を一緒に考えたり、きちんと服薬できる方法を工夫したりするサポートを受けられる |
| 自己理解・疾病理解のプログラム | 自分の抱えている病気のことを理解して病識を持ち、自分の特性や強み弱みを把握できるように学ぶ |
| 基礎的なビジネスマナーの習得 | ビジネスメールの書き方や、敬語、礼儀、報連相などを学び、身につける |
| 基礎的なPC操作の習得(事業所による) | タッチタイピングから、データ入力やマイクロソフトoffice(Word、Excel、PowerPoint)の基本的な使い方などを学ぶ |
| 軽作業の訓練 | 障害者雇用で多い軽作業(シール貼りや梱包など)を行い、素早く正確に作業できるよう訓練する |
就労支援の種類や事業所によって、支援内容は異なるため、あらかじめどのような支援を受けられるのかを事業所に確認しておきましょう。
精神障害の方が就労支援を利用するための流れ

精神障害のある方が就労支援を利用するための流れは、以下の通りです。
- 相談先を見つける
- いくつかの施設を見学・体験する
- 障害福祉サービス受給者証の申請をする
- 認定面談を受ける
- 支給決定される
- 利用開始する
それぞれ順を追って解説します。
ステップ1:相談先を見つける
まず、就労支援のことを相談できる相手を見つけましょう。
住んでいる自治体の障害福祉課に行って、地域活動支援センターや相談支援事業所、障害者就業・生活支援センター(なかぽつ)などを紹介してもらうのがスムーズです。
もし行きたい就労移行支援事業所があれば、そこのスタッフに相談することもできます。
ステップ2:いくつかの施設を見学・体験する
就労支援には、前述したようにいくつもの種類があります。
いくつかの施設を見学・体験して、何が自分に合っているのかを感じてみましょう。
事業所によって、同じ就労移行支援でも支援内容が違ったり、同じ就労継続A型でも作業内容が違ったりするので、合わないと思ったら、無理して続ける必要はありません。
いくつかトライしてみて、自分に合ったところを見つけましょう。
ステップ3:障害福祉サービス受給者証の申請をする
行きたい施設が決まったら、もう一度障害福祉課に行って、障害福祉サービスの受給者証を申請しましょう。
申請すると、計画相談の事業所から、認定面談の日程調整の電話がかかってきます。
ステップ4:認定面談を受ける
計画相談の相談支援専門員から認定面談を受けます。
認定面談とは、申請者の心身の状態や生活状況を把握し、その就労支援が必要な状態かどうかを認定するための面談です。
面談方法は自宅訪問や役所・相談支援事業所など、自治体によって異なります。
ステップ5:支給決定される
認定面談で、「就労支援が必要」と認定されると、自治体で審査され、支給決定されます。
受給者証の発行までにかかる期間は自治体によって異なりますが、概ね数週間〜1か月程度の場合が多く、状況によってはもう少し時間がかかることもあります。
ステップ6:利用開始する
受給者証が発行されたら、受給者証を持って選んだ施設(事業所)に行き、正式に利用契約を結びます。
利用契約を結んだその日から、利用開始することができます。
精神障害の方が自分に合った就労支援を選ぶ5つのポイント

精神障害のある方が自分に合った就労支援を選ぶ際に、重視したいポイントをお伝えします。
重視したいポイントは、以下の5つです。
- 現在の体調・生活リズムを基準に考える
- 「働く目的」や「ゴール」を明確にする
- 施設によるサポート内容の強みを比較する
- 支援期間とステップアップの道を確認する
- 医師・家族・支援員と相談して決める
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ポイント1:現在の体調・生活リズムを基準に考える
何年後の未来ではなく、理想の自分でもなく、今現在の自分の体調や生活リズムを基準にして、通所可能なところを選びましょう。
たとえば、週5日働きたいと思っても、今現在ほとんど外に出ない生活をしている方が、いきなり週5日働くのは、現実的ではありません。
ほとんど外に出ていない方や、朝起きられない方などは、オンライン訓練や在宅ワークに対応している事業所も増えてきているため、そうした支援形態を提供している就労移行支援や就労継続B型を選ぶのも一つの方法です。
ポイント2:「働く目的」や「ゴール」を明確にする
障害を持っていてもいなくても、働くのに目的や目指すゴールがあるかないかで、モチベーションが違ってきます。
また、自分は何のために働きたいのか、どこをゴールとするのかによって、選ぶ支援も変わってきます。
一人で考えてもわからない場合は、相談支援専門員や事業所のスタッフなどと相談して、働く目的やゴールを設定すると安心できます。
ポイント3:施設によるサポート内容の強みを比較する
就労支援は、その施設や事業所によって、支援内容が異なります。
そのため、施設のサポート内容の強みを比較することによって、自分に合った施設を見つけることが可能です。
たとえば、自分に何があっているかわからない、これから探していきたいという場合にIT特化型の事業所に通ってしまうと、自分に合ったことが見つけられない可能性があります。
自分の希望と、その施設の強みがマッチングするかどうかを確認しましょう。
ポイント4:支援期間とステップアップの道を確認する
支援期間とステップアップの道筋は、計画相談員と一緒に決めていきましょう。
今の自分には、どれくらいの間支援が必要で、どんなふうにステップアップしていくのかの道筋が見えていると、モチベーションも湧いてきます。
たとえば、まず就労継続B型に通って生活リズムを作り、その後就労移行支援に通って一般就労を目指す、というような道筋です。
働く目的やゴールから逆算して考えるのも一つの方法です。
ポイント5:医師・家族・支援員と相談して決める
就労支援を選ぶ際には、自分一人で決めずに、医師や家族、支援員と相談して決めるようにしましょう。
自分一人では、働く目的やゴール、そこまでの道筋を具体的に描くことはなかなか難しいです。
しかし、主治医や支援員と相談しながらであれば、可能になります。
もし主治医や家族が信頼できないなら、信頼できる支援員を見つけるところから始めましょう。
何もかも自分一人で抱え込まないことがポイントです。
精神障害の方が就労支援利用して就労した事例

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そして、企業見学や実習を重ねた結果、自分の強みを活かせる大手ホテルの清掃業に就職できたのです。
明るく支え合える環境の中で、自信を持って新しい一歩を踏み出した事例です。
就職者の声「自己理解を深めた結果、就職することができました!」
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精神障害のある方が安心して働くためには、自分に合った就労支援を選ぶことが大切です。
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