障がい者雇用で働くメリット・デメリットを本人目線で徹底解説!
身体、知的、精神、発達など何らかの障がいをお持ちの方で、障がい者雇用で働くことを考えている方も多いのではないでしょうか。
しかし、障がい者雇用で働く際に、本人にどのようなメリット・デメリットがあるのかは、あまり知られていません。
この記事では、障がい者雇用で働く際の、本人にとってのメリット・デメリットを詳しく解説していきます。
障がい者雇用で働く本人が得られる9つのメリット

障がい者雇用で働く際に本人が得られるメリットは、次の9つです。
- 合理的配慮を受けられる場合が多い
- 一般雇用より就職しやすい
- 大企業で働くチャンスを得られる
- 就労定着支援を受けられる
- 離職率が一般雇用より低い
- 障害者控除が受けられる
- 働きながら障害年金を受給できる可能性がある
- 自信・自己肯定感の向上につながる
以下から、一つひとつ詳しく見ていきましょう。
メリット1:合理的配慮を受けられる場合が多い
合理的配慮を受けられることは、障がい者雇用のメリットです。
「合理的配慮」は、法律によって、企業が障がいのある方に対して行うよう義務付けられているものです。
配慮の内容はさまざまで、勤務時間や休憩時間の調整、業務内容の限定、障がいに対する物理的なサポートなどがあります。
たとえば、視覚障がいの方には読み上げソフトの使用、精神障がいの方には静かな環境、発達障がいの方には業務の見える化など、さまざまな取り組みがなされています。
他にも、時差通勤や時短・在宅勤務、コミュニケーション方法への配慮、バリアフリーの導入などもよくある例です。
こうした配慮によって、障がいがあっても、安心して無理なく働くことが可能です。
障がいがあることがわかった上で雇用されているため、周囲の方からも理解が得やすく、差別や偏見を受ける可能性も低いと言えます。
メリット2:一般雇用より就職しやすい
企業に障がい者の法定雇用率の引き上げが求められている現状があります。
また、選考基準も柔軟に設定されているため、一般雇用に比べて就職しやすいというのも、障がい者雇用のメリットです。
一般雇用では、学歴や職歴が重視され、ブランクがあることがハンデになるのに比べ、障がい者雇用では、学歴や職歴、ブランクなどは不問。
「長く安定して働き続けられるか」が重視されます。
そのため、就労移行支援事業所や就労系の障害福祉サービスに安定して通えている方は、それだけで雇用されやすいといえます。
支援機関のサポートがある方しか採用しないという企業も増えてきています。
また、採用面接も、支援スタッフの同席が許されたり、本人の特性や希望に合った方法で行ってくれることが多いもの。
このように初めから障がいや特性を考慮してくれるため、自分の良さや強みを発揮できる可能性も高いです。
メリット3:大企業で働くチャンスを得られる
障がい者雇用の法定雇用率達成が義務付けられているため、大企業ほど障がい者の採用に前向きです。
そのため、誰もが名前を知っているような大企業で働くチャンスが得られます。
企業によっては、障がい者雇用の人だけで形成される特例子会社を作っているところもあるのです。
したがってそういった職場では、配慮が行き届いていて働きやすいといえます。
また、大企業には正社員登用制度があるのも魅力です。
障がい者雇用枠で入社し、社内で経験を積んでスキルアップすれば、正社員も夢ではありません。
このように、大企業で働くチャンスを得られるのも、障がい者雇用のメリットです。
メリット4:就労定着支援を受けられる
就労定着支援を受けられるのも、障がい者雇用のメリットです。
就労定着支援とは、就労移行支援をはじめ就労系の障害福祉サービスを利用して一般就労した方を対象に、就職した後にサポートを受けられるサービスです。
たとえば、以下のようなサポートが受けられます。
- 定期的な面談
- 職場訪問
- 電話やメールの相談窓口
- 職場や上司・同僚との調整や仲介
- ジョブコーチ(職場適応援助者)の派遣
こうしたサポートを受けることで、就職後の不安が軽減し、より安心して無理なく働くことができます。
特に、上司や同僚との人間関係に悩んでいる場合や、業務内容や業務量についていけずに悩んでいる場合などに便利。
支援員に間に入ってもらうことで、本当に思っていることを伝えられたり、業務を調整してもらうことができるのはメリットです。
メリット5:離職率が一般雇用より低い
一般に、障がいがあることを隠して働くクローズド就労よりも、障がいがあることを開示して働く障がい者雇用の方が、離職率が低いといわれています。
これは、周囲の理解や合理的配慮を得やすいことや、就労定着支援を受けられることなどから、本人が無理せず安心して働けるからであるといえます。
特に、精神や発達の方は、理解されにくい障がいであるため、周囲の理解とサポートが必須です。
サポートを受けながら、職場にも理解を深めてもらい、自分らしく働けることで、離職率が低くなります。
メリット6:障害者控除が受けられる
正式に雇用されていれば、年末調整の際に障害者控除を申請できます。
障害者控除とは、所得税や住民税の減免を受けることができる制度で、1人当たり27万円が所得金額から差し引かれます。
たとえば、年収400万円の場合は、約5万円返ってくることになるためメリットといえるのです。
メリット7:働きながら障害年金を受給できる可能性がある
障害年金の受給要件には、「労働能力が制限される」状態との文言がありますが、障がい者雇用などの福祉的な支援を受けた環境での就労であれば、受給できる可能性があります。
実際に、令和元年度の厚生労働省の第5回社会保障審議会年金部会の報告における障害年金受給者(20~59歳)の就労率(障害等級別・障害種別)によると、
、働きながら障害年金を受給している障がい者の割合は、以下の通りです。
- 身体障がい 48.0%
- 知的障がい 58.6%
- 精神障がい 34.8%
このように、約半数の人が、働きながら障害年金を受け取っています。
メリット8:自信・自己肯定感の向上につながる
障がい者雇用で一般就労することで、「自分もちゃんと働けるんだ」という自信が芽生えたり、「私は障がいを持っているけれど、このままで大丈夫なんだ」という自己肯定感が生まれたりすることも、メリットの一つです。
人は、社会に貢献できている感じがしないと、幸福感を感じにくく、自己肯定感や自己の存在意義の喪失にもつながります。
しかし、企業で働いて、社会に貢献できているという実感を持つことで、「自分はここにいていいんだ」という意識を持つことができるのです。
これは、人間としての幸福感の一つでもあり、重要なものです。
働くことで、自信や自己肯定感、貢献感からの幸福感が得られるのも、障がい者雇用のメリットといえます。
障がい者雇用で働く本人にとっての5つのデメリット

障がい者雇用で働く際に、本人にとってデメリットとなるのは、以下の5つです。
- 一般雇用に比べて求人数や働ける職種が少ない
- 障害者手帳を持っている必要がある
- キャリアアップしにくい
- 一般雇用に比べて給与水準が低い場合が多い
- 職場の障がい理解が行き届いていない場合がある
以下から、それぞれ詳しく見ていきましょう。
デメリット1:一般雇用に比べて求人数や働ける職種が少ない
障がい者雇用では、一般雇用に比べて就職しやすいというメリットはあるものの、求人数自体は少なく、働ける職種は多くありません。
障がい者雇用で多い職種は、軽作業や事務、清掃などで、営業や総務などの経営に関わる仕事や、専門職は少ないです。
なぜかというと、そもそも障がい者雇用とは、一般雇用で働くことが困難な方のための制度だからです。
そのため、仕事の内容も簡単な作業が主になる傾向があります。
しかし、最近は、就労移行支援でも、IT特化型などの事業所もあり、専門的なスキルを磨くことも可能です。
専門的なスキルや資格があれば、障がい者雇用でも専門職に就ける可能性があります。
デメリット2:障害者手帳を持っている必要がある
障がい者雇用で働くためには、障害者手帳を持っている必要があります。
障害者手帳を持っていないと、障がい者雇用枠には応募できません。
障害者手帳は、持っているとメリットもたくさんありますが、手帳を持つこと自体に抵抗感がある方もいます。
手帳を持つことに抵抗がある方は、障がい者雇用で働くことはできないといえます。
デメリット3:キャリアアップしにくい
障がい者雇用では、単純作業が多く、専門的な仕事は少ない傾向があります。
仕事内容が「補助的な業務」にとどまってしまう可能性も高く、昇進や昇給の制度が整っていない場合もあります。
そのため、仕事をする中でキャリアアップすることが難しい企業があるのが現状です。
障がい者雇用でも、キャリアアップの制度が整っている会社もありますので、企業見学や面接等で確認しましょう。
デメリット4:一般雇用に比べて給与水準が低い場合が多い
障がい者雇用は、求人の多くが非正規雇用なのもあり、一般雇用に比べて給与水準が低い場合が多いです。
厚生労働省の令和5年度障がい者雇用実態調査結果報告書によると、障がい者雇用の平均賃金は月収15万円以下であり、一般雇用の給与所得者の平均である約38万円(国税庁令和5年度民間給与実態統計調査による)の半分以下となっています。
特に、精神障がい者、発達障がい者の平均賃金は、身体障がい者に比べて低いです。
障がい者雇用の仕事内容が限定的で、補助的な作業が多いことと、非正規雇用の割合が高いことが影響しているといえます。
そのため、障害年金と併用しないと生活していけない方も多いです。
デメリット5:職場の障がい理解が行き届いていない場合がある
「障がい者雇用だから当然合理的配慮が受けられる」と思っていると、そうでもないことがあります。
たとえば、障がい者雇用だということを知っているのが直属の上司だけだったり、知っていても障がい理解がなかったり、仕事内容や給与で差別を受けたりすることがあるのも現状です。
合理的配慮も気持ち良く受けられれば問題がないもの。
しかし、周囲の方に「ずるい」という感覚で受け止められる可能性もあります。
職場の障がい理解が行き届いていないと、せっかく障がい者雇用で採用されても、嫌な思いをすることもあるかもしれません。
障がい者雇用で働く本人のデメリットは解消できる!

障がい者雇用で働く本人のデメリットを挙げましたが、デメリットは解消できるものです。
以下に、デメリットの解消法を5つ挙げます。
- 自己理解・障がい理解を深めて、希望する職種を明確にする
- 希望する職種に必要なスキルを習得する
- 障がい者雇用専門の求人窓口や就労支援機関を利用する
- 就労移行支援事業所に通ってサポートを受ける
- 企業の職場体験実習に参加する
ここから、一つひとつ詳しく見ていきましょう。
解消法1:自己理解・障がい理解を深めて、希望する職種を明確にする
デメリットの解消法の一つは、自己理解や障がい理解を深めることです。
自分の障がいの特性や症状、自分の強みと弱みなどを見極めて、どんな職種であれば自分の強みや特性を生かせるのかを明確にします。
そして、その職種に絞って就職活動をすれば、自分の希望に合った職種や業務に就職しやすいです。
また、企業に合理的配慮を求める場合も、自己理解や障がい理解が重要になります。
「自分はどんな特性があるからどんな配慮が必要なのか」を、企業にしっかり説明できることが理想。
すると、働きやすい環境を作ってもらえたり、自分に合った業務を与えてもらえたりする可能性が高くなるのです。
解消法2:希望する職種に必要なスキルを習得する
特定の職種や業務に就きたい場合、就職後もキャリアアップを考えている場合は、希望する職種に必要なスキルや資格を習得しておくと良いでしょう。
たとえば、事務職であればMOSなどMicrosoft officeの資格、経理であれば日商簿記、IT系であれば情報技術者などのプログラミング系の資格など。
各職種で有利になるスキルや資格を習得しておけば、就職活動も、その後のキャリアアップもスムーズに進みます。
ただし、資格を取得するだけでなく、実務で活かせるスキルを身につけなければ資格を持っていてもキャリアアップは難しくなります。
1人で勉強するのが難しい場合や、実務スキルを磨くためには、就労移行支援などを利用しましょう。
解消法3:障がい者雇用専門の求人窓口や就労支援機関を利用する
障がい者雇用で希望の職種に就職するには、障がい者雇用専門の求人窓口や就労支援機関を利用するのが最適です。
ハローワークの障がい者専用窓口や、障がい者向けの転職エージェントなどを利用し、サポートを受けながら自分の障がいに適した仕事を探しましょう。
障がい者専門の転職エージェントなどに登録している企業は、障がい者雇用の実績があり、障がい者雇用に積極的に取り組んでいる企業でもあります。
障がい者雇用に積極的な企業は、評価制度やキャリアアップの体制がある場合も多く、昇進や昇給を目指せる可能性も高いです。
解消法4:就労移行支援事業所に通ってサポートを受ける
就労移行支援事業所は、障がい者の就労に特化したサービスを行っているので、以下のようなサポートを受けることができます。
- 自己理解・障がい理解を深めること
- 希望するスキルや資格の習得
- 就職活動のサポート
- 就職後のサポート(就労定着支援)
こうしたサポートは、障がい者雇用のデメリット解消に役立ちます。
1人でエージェントなどを利用して転職活動をするのが不安な方は、就労移行支援を利用されることがおすすめ。
しっかりサポートを受けながら、自分に合った就職先を見つけましょう。
解消法5:企業の職場体験実習に参加する
企業の職場体験実習に参加するのも、体験として重要です。
実際に職場に行って働いてみないと、自分に適した環境かどうか、障がい理解のありそうな人間関係かどうかなどはわかりません。
実際に職場体験実習に参加してみて、働く環境や職場の雰囲気、周りの人の理解度などを確認しましょう。
職場体験実習は、ハローワークや就労移行支援事業所などに相談すれば、紹介してくれることが多いです。
障がい者雇用のメリットを最大限に活かすために就労移行支援を利用しよう!

障がい者雇用には、メリットとデメリットがあるものです。
しかし、デメリットは解消できる場合もあります。
障がい者雇用のデメリットを解消し、メリットを最大限に活かすためには、就労移行支援事業所を利用するのがおすすめです。
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