健常者でも就労移行支援を利用できる?受けられるサポートや利用の流れを解説
仕事をしていて、メンタルの調子を崩してしまうなどが現代社会では起こりやすいものです。
こうした、「障がい」という診断は受けていない方で「就労移行支援を利用したい」というケースは考えられます。
就労移行支援は、障がいのある方を対象とした障害福祉サービスの一つです。
障害者手帳を持っていない、いわゆる「健常者」の方でも利用できる場合があるのをご存知でしょうか。
この記事では、健常者の方でもどんな方が就労移行支援を受けられるか、就労移行支援を利用する流れなどについて、詳しく解説していきます。
健常者でも就労移行支援を利用できる?

就労移行支援は、障害者手帳を持っていない方でも利用することができる場合があります。
それは、以下の条件を満たした場合です。
- 障害福祉サービス受給者証がある
- 医師の意見書がある(受給者証取得時)
それぞれについて、ここから詳しく見ていきましょう。
障害福祉サービス受給者証がある
就労移行支援は、障害者手帳が必須ではありません。
必須なのは、障害福祉サービス受給者証です。
障害福祉サービス受給者証は、多くの自治体で、申請書と医師の意見書があれば取得できます。
また、受給者証がなくても就労移行支援事業所の相談や見学はできるので、興味のある方は一度相談や見学に行ってみると良いでしょう。
受給者証は医師の意見書がある(受給者証取得時)
障害福祉サービス受給者証を取得できる「医師の意見書」は、精神科や心療内科を受診することで、取得できる可能性があります。
受診の際は、自分の症状や困っていること、そして就労移行支援を利用したいということを医師に伝えましょう。
医師の意見書や診断書が取れる症例は、以下のようなものです。
医師の意見書・診断書が取れる症例
医師の意見書・診断書が取れる症例として、以下が挙げられます。
- うつ状態
- 発達障害グレーゾーン
- 境界知能
- 適応障害
- 社交不安障害
- パニック障害
- 強迫性障害
「うつ状態」は、うつ病とは違い一時的な症状。
以下のような症状があります。
- 無気力でやる気が出ない
- 憂鬱な気分が晴れない
- 夜眠れない
- 朝起きられない
- 不安が強い
- 食欲がない
- 何をしても楽しめない
- 生きているのがつらくて死にたくなる
仕事をしていく上でも日常生活でも支障をきたすことが多いものです。
次に、「適応障害」の症状として、次が挙げられます。
- 気分の落ち込み
- 意欲の低下
- 焦燥感
- 神経過敏
- 倦怠感など
※うつ状態と似た症状も多い
生活環境の変化や職場の人間関係、業務量過多など強いストレスが原因で、心身の不調や日常生活への支障が出ている状態です。
続いて「社交不安障害」は、次のようなもの。
- 人と話したり人前に出たりする時に、周りの視線が気になって過度に緊張
- 赤面・発汗・動悸などの症状が現れる
- 人と接するのに強い恐怖感を覚える
※以前は「対人恐怖症」と呼ばれていたことも
人見知りでコミュニケーションが困難な方に起こりやすい障がいといえます。
次に、「発達障害グレーゾーン」や「境界知能」とは、はっきりと発達障害や知的障害の診断基準は満たさないものの、近い状態にあるということです。
「境界知能」は、具体的にIQが70〜85で平均より低いといった状態。
知的障害ではないものの、学習や社会生活に困難を感じることが多い方のことを指します。
発達障害グレーゾーンに近い症状としては、以下のようなものがあります。
- 不注意でミスや忘れ物が多い
- 片付けや整理整頓が苦手
- 暗黙の了解や場の空気を察することができない
- 相手の気持ちを想像するのが難しい
- あいまいな指示や表現をされるとわからない
- 臨機応変な対応が苦手
- 時間の管理が苦手で待ち合わせや締切に間に合わない
続いて「パニック障害」は、特定の状況下で不安や恐怖が募り、急に動悸や息切れがひどくなる症状。
電車に乗っていられなくなるなどの困難があります。
そして「強迫性障害」は、自分でも不合理だと思っている考えにとらわれてしまうもの。
自己の考えたことに対する恐怖や不安を打ち消すための行動を繰り返してしまい、仕事や日常生活に支障をきたしてしまいがちです。
たとえば、強迫性障害として以下のような行動が見られます。
- 不潔恐怖からいつまでも手を洗い続ける
- 鍵やガス栓を閉めたか確認することがやめられない
- 自分が誰かに危害を加えているのではないかと不安になる
- 物事を完璧にこなさなければ許せない完璧主義になる
上記の症例以外でも、「疲れやすい」「生きているのがつらい」「職場でうまくいかない」などと感じている方は、一度精神科か心療内科の医師に相談してみることをおすすめします。
障害者手帳がない健常者の方が就労移行支援を利用するまでの流れ

障害者手帳を持っていない健常者の方が、就労移行支援を利用するまでの流れは次の通りです。
- 医師に相談する(主治医になる医師を決める)
- 自宅から通える範囲の就労移行支援事業所を調べる
- 就労移行支援事業所に見学・相談に行く
- いくつか体験入所してみて、通所する事業所を決める
- 主治医に意見書または診断書を書いてもらう
- 自治体に受給者証を申請に行く
- 認定面談を受ける
- 受給者証が支給されたら事業所と契約する
以下から、一つひとつ詳しく見ていきましょう。
1:医師に相談する(主治医になる医師を決める)
就労移行支援を利用するには、まず精神科か心療内科の医師に相談する必要があります。
この場合、医師は「主治医」として診断書や意見書を書くことになるため、単に近くにあるから、というだけではなくて、きちんと調べてから決めることが重要です。
今は、たいていのクリニックや病院がホームページを持っているので、どんな医師がいるのか調べましょう。
特に、発達障害の疑いがある方は、発達障害を扱っている医師でないと、きちんと診断できない場合があるため、注意が必要です。
また、精神科や心療内科は予約が必要な場合が多いので、あらかじめ連絡をして予約をしてから行きましょう。
受診の際には、症状や日常生活で困っていることを具体的に詳しく伝え、就労移行支援を利用したい理由をはっきりと伝えます。
医師は、診察を通して就労移行支援を利用することが適切かどうかを判断するため、意見書が必要な理由と状況をしっかり伝えることが重要です。
2:自宅から通える範囲の就労移行支援事業所を調べる
主治医が決まったら、自宅から通える範囲の就労移行支援事業所を調べましょう。
就労移行支援は、事業所によって支援内容が大きく異なるため、どのような支援をしているのか、よく調べる必要があります。
たとえば、PCスキルの習得に重点を置いている事業所、自己理解・障がい理解やコミュニケーションスキルの向上を主にサポートしている事業所、IT系に特化していて専門的なスキルを学ぶ事業所など、事業所によって特色が違います。
また、自宅から最大でも1時間以内で行けるところでないと、通所が続きません。
範囲を絞ってしっかり調べ、いくつか候補を挙げましょう。
3:就労移行支援事業所に見学・相談に行く
候補となった就労移行支援事業所に、見学・相談に行きましょう。
見学・相談は、随時受け付けているところが多いですが、予約が必要なところも多いので、あらかじめ連絡をするようにします。
予約をして見学に行けば、スタッフが相談に乗ってくれます。
なぜ就労移行支援を利用したいのか、仕事や日常生活でどんなことに困っているかなど、詳しく相談してみましょう。
その時スタッフと話した感じで、相性がいいなと感じた事業所を選ぶと良いでしょう。
4:いくつか体験入所してみて、通所する事業所を決める
見学・相談に行って、良さそうな事業所を2〜3か所に絞ったら、体験入所をしてみましょう。
見学しただけでは、実際にどのような支援が行われているのか、わからない場合があります。
また、利用者の雰囲気なども、体験入所してみればわかることが多いです。
体験入所してみて、一番自分に合っていると思える事業所があれば、そこに決めましょう。
5:主治医に意見書または診断書を書いてもらう
利用したい事業所が決まったら、主治医に意見書または診断書を書いてもらいましょう。
もし、書いてもらえないようなら、別の主治医を探す必要があります。
主治医には、実際に体験入所してみてどうだったかを詳しく伝え、自分には就労移行支援を利用することが適切であることを理解してもらうことが重要です。
6:自治体に受給者証を申請に行く
医師から意見書または診断書を書いてもらったら、住んでいる自治体の障害福祉課に行き、障害福祉サービス受給者証を申請します。
窓口で、就労移行支援の利用を希望することを伝え、必要書類(マイナンバーカード、医師の意見書または診断書、住民税課税証明書)を提出し、申請書に記入します。
7:認定面談を受ける
申請後、相談支援専門員(または自治体職員)による認定面談が行われます。
多くの場合、自宅を訪問し、ヒアリングを行って、本人にとって就労移行支援の利用が適切かどうか判断します。
これには1時間近く要することが多いです。
8:受給者証が支給されたら事業所と契約する
認定面談で適切と判断されれば、受給者証が発行されます。
受給者証の発行には、申請から1か月程度かかることが多いです。
受給者証が発行されたら事業所に提出し、正式に利用契約を結びます。
利用契約をした日から、事業所の利用が開始できます。
健常者の方が利用できる就労支援

就労支援は、就労移行支援事業所だけでなく、他のところでも利用できます。
健常者の方が利用できる就労支援として、次があります。
- 公共職業訓練(ハロートレーニング)
- ジョブカフェ・若者サポートステーション
- 自治体独自の就労支援事業
以下からそれぞれ詳しく見ていきましょう。
公共職業訓練(ハロートレーニング)
ハロートレーニングとは、「公共職業訓練」と「求職者支援訓練」の総称で、公的な職業訓練制度です。
住んでいる自治体のハローワークで申し込みができ、希望する職種によって、必要な職業スキルや知識の習得を目指します。
受講料は原則無料で、テキスト代のみ自己負担です。
公共職業訓練には、主に施設内訓練と委託訓練があります。
施設内訓練はものづくり系の科目が多く、委託訓練は専門的な技能の習得を目指すものが多いです。
また、求職者支援訓練では、社会人として必要なビジネスマナーや、基礎的なPCスキルの習得を目指すコースも。
さらに、医療事務、経理、営業事務、Webデザインなどの実践的な技能を習得できるコースがあります。
求職者支援訓練は、ハローワークで求職申込をしている方ならだれでも受講可能です。
公共職業訓練は、雇用保険を受給している必要があります。
ハロートレーニングの特徴は、一定の条件を満たせば給付金がもらえることです。
職業訓練受講給付金は、月10万円が支給されるもの。
さらに雇用保険から日額500円(40日まで)が給付されます。
ジョブカフェ・若者サポートステーション
若者サポートステーションは、全国に179か所あります。
15歳から49歳までの働くことに悩みを抱えた方を対象に、就労を支援する厚生労働省委託の支援機関です。
無料で就労の相談ができ、職場定着までサポート。
気軽に相談できます。
求人紹介というよりは、コミュニケーション講座や職場体験など、就労に必要なスキルや経験をサポートするプログラムが多いのが特徴です。
一方、ジョブカフェは、都道府県が運営する就職活動の総合的支援機関。
相談から求人紹介までワンストップで提供しています。
ただし、ジョブカフェの対象者は、45歳までなので、注意が必要です。
ジョブカフェでは、就職セミナーからカウンセリング、職場体験、職業相談、求人紹介などのサービスが提供されています。
自治体独自の就労支援事業
これ以外にも、自治体独自の就労支援事業を行っているところもあります。
たとえば、東京都には、「しごとセンター」があり、就業に関する情報提供やセミナー、職場体験、職業訓練などを行っています。
自治体によって異なるため、自治体のホームページなどで確認してみましょう。
健常者の方でも生きづらい人は就労支援を利用しよう!

健常者の方でも、「生きづらい」と感じている方は多くいます。
特に、仕事をする上で困難を感じている方、仕事をしていてメンタルの調子を崩してしまった方などは、「障がい」の診断がなくても就労移行支援を利用できる可能性が高いです。
兵庫県神戸市、埼玉県川口市、東京都文京区に拠点を置く就労移行支援事業所サンヴィレッジでは、手帳の取得を検討している方やメンタル不調で休職中の方も受け入れています。
生きづらいと感じている方、仕事をしていてメンタル不調を感じる方は、相談だけなら受給者証も不要なので、一度お気軽にご相談ください。




