就労移行支援の訓練内容を徹底解説!どんなトレーニングを受けられる?
就労移行支援は、障害(身体障害、知的障害、発達障害、精神障害など)や指定難病をお持ちの方が、一般就労(障がい者雇用含む)を目指して訓練(トレーニング)を受ける障害福祉サービスの一つです。
就労移行支援では、「就職すること」「長く働き続けること」を目標に、さまざまなトレーニングが行われます。
この記事では、就労移行支援では具体的にどんなトレーニングを行うのか、プログラム内容に合わせて詳しく解説していきます。
就労移行支援の訓練内容

就労移行支援の訓練内容は、主に以下の6つのプログラムに大きく分かれます。
- 自己理解・疾病理解のプログラム
- コミュニケーションスキル・社会的スキルを身につけるプログラム
- ビジネススキルを身につけるプログラム
- 専門スキルを身につけるプログラム
- 就活スキルを身につけるプログラム
- 就労マッチング・職場体験実習などのプログラム
それぞれ詳しく見ていきましょう。
自己理解・疾病理解のプログラム
自己理解・疾病理解のプログラムは、就労移行支援の「肝」とも言える大事なプログラムです。
具体的なプログラムには、以下のようなものがあります。
生活管理・体調管理
日常生活や健康を自分で管理できるようになることは、働く上でもっとも重要です。
就労移行支援では、生活記録表や日常生活管理表をつけて、毎日の睡眠時間や活動時間を記録し、それに対してスタッフからアドバイスをもらい、毎月や毎週の目標に落とし込んでいくことで、だんだんと自分の生活や健康を管理できるようになっていきます。
自己分析・自己理解
自分の障がいや特性を理解することは、今後長く働き続ける上で欠かせません。
特に、障がい者雇用で就職する場合は、自分の障がいや特性を客観的に理解して伝えられること、どのような配慮をして欲しいのかを具体的に伝えられることが重要です。
また、自分の特性や個性、強み弱みを分析して理解することは、障がい理解と同じくらい重要です。
個性や強み弱み、自分に向いていること、得意不得意などを理解することで、どんな仕事が自分に合っているのか、どんな仕事なら無理なく続けられるのかがわかります。
また、職務経歴書や履歴書の志望動機・自己PRの欄などで、その企業や職種に合った自分の強みをアピールすることもできます。
自己分析は主にエゴグラムを用いて行い、心理学に基づいた手法で行うのが特徴です。
ストレス対処法・セルフマネジメント
ストレスは、職場で働く以上、なくならないものです。
ではどうしたらそのストレスに対処できるのかを考えて、具体的な対処法を見つけていきます。
あらかじめ対処法を書き出しておくことで、いざストレスに見舞われた時に、自分で対処することができるようになります。
セルフマネジメントとは、このように、自分で自分自身をコントロールできるようになることです。
リラクゼーション
リラクゼーションとは、瞑想(マインドフルネス)やヨガなどを行い、意識的に自分をリラックスさせる方法です。
これを身につけておくことで、緊張した時や不安になった時などに、リラックスすることができるようになります。
コミュニケーションスキル・社会的スキルを身につけるプログラム
コミュニケーションスキル・社会的スキルを身につけるプログラムは、以下のようなものがあります。
SST(ソーシャルスキルトレーニング)
SSTとは、社会生活を営むためのコミュニケーションスキルや自己管理能力を身につけるためのトレーニングです。
挨拶や身だしなみをはじめ、生活リズムを整える方法、服薬管理や金銭管理、通勤訓練、そしてストレス対処法やアンガーマネジメントなどが含まれます。
JST(職場対人技能訓練)
職場で想定されるコミュニケーション能力を高めるトレーニングです。
残業の断り方や、遅刻した時、質問したい時、謝罪する時、休憩時の雑談など、いろいろなケースを想定してトレーニングします。
アサーション
アサーションは、「自他尊重のコミュニケーション」です。
いかに相手を不快にさせずに自分の意思を伝えるか、という手法で、無理な仕事を押し付けられた時の逃げ方や、行きたくない飲み会の断り方など、うまく「NO」を伝える方法を学びます。
また、自分がこう言ったら相手がどう思うか、など、仲間とともに相手の気持ちを考える対話も行います。
ダイアログ
ダイアログは、「ディスカッション」と違って、「答えを出さない対話」です。
ただ相手の話を傾聴し、相手の考え方をそのまま認め、多様な考え方を理解し合います。
このような対話を積み重ねることで、「相手を否定しないで一旦そのまま認める」ということができるようになります。
アンガーマネジメント
アンガーマネジメントは、怒りや感情のコントロールをすることです。
働く上では、思わず怒りの感情が湧いたり、ネガティブな感情に支配されたりすることもあります。
しかし、それにとらわれずに、コントロールすることができれば、職場の人間関係もうまくいき、長く働き続けることができるでしょう。
そのために、自分の感情をコントロールする方法を学びます。
ビジネススキルを身につけるプログラム
ビジネススキルを身につけるプログラムは、以下のようなものがあります。
基礎的なビジネスマナー
挨拶や敬語、会社の上下関係や取引先との関係から、言葉の使い方を学びます。
ビジネスメールの書き方や、チャットでのやり取りについても学びます。
基礎的なPC操作
パソコンを使ったことがない方は、タイピングから学ぶことができます。
タッチタイピングができることは、事務系の仕事をするのには必須です。
テキストを入力して、漢字変換し、日本語の文章を作ること、テンプレートに沿ってデータ入力することなどを学びます。
パソコンの実務経験がある方はスキルアップを目指すことができ、ひとりひとりに合わせたレベルで取り組むことができます。
Microsoft Officeの使い方
事務系の仕事では必須のWordとExcelの使い方、営業などで役に立つPowerPointの基本的な使い方を学びます。
さらに、事業所によっては、メールソフトのOutlookやデータベースソフトのAccessの使い方なども学ぶ場合があります。
また、資格取得サポートのある事業所では、MOS(Microsoft Office Specialist)の資格取得を目指して勉強する場合もあります。
電話応対・来客対応
一般事務の仕事で求められる、電話応対や来客対応のスキルを学びます。
敬語の使い方、お茶の出し方、席の案内の仕方、電話での引き継ぎの仕方などを、具体的な場面に即してロールプレイします。
専門スキルを身につけるプログラム
専門スキルを身につけるプログラムは、以下のようなものがあります。
軽作業
シール貼りや梱包、検品、領収書の整理、郵便物の仕分けなど、障がい者雇用で求められる軽作業を実際に体験します。
実際に体験することにより、自分の得意不得意がわかったり、仕事に自信を持って取り組めるようになったりします。
プログラミングやWeb制作などのITスキル
Web制作や、システムの構築、業務の効率化などに使うプログラミング言語を学びます。
資格取得サポートのある事業所では、情報処理技術者試験などの資格を目指す場合もあります。
IllustratorやPhotoshopなどのデザインスキル
IllustratorやPhotoshopなどのデザインソフトを使って、名刺やチラシ、ポップなどの作成を学びます。
Webデザイナーは、多くの就職口があるので、Webデザインを学ぶことで、就職先の選択肢が広がります。
調理
調理のスキルは、仕事だけでなく、実生活にも役立ちます。
障がい者雇用では、調理補助などの仕事も多いことから、就職先の選択肢も広がります。
接客
一般就労として、接客業に就く人も多くいます。
接客は、苦手と感じる人も多いかもしれませんが、これもスキルです。
トレーニングすることで、苦手意識なくできるようになります。
農作業
農業は一部の地域や事業所で就労支援の一環として取り入れられており、実際の農作業を体験するプログラムもあります。
田んぼや畑など実際の農作業を体験します。
資格取得サポート
ビジネス系、IT系の資格取得をサポートするプログラムです。
事業所によってサポート内容が違うので、よく確認しましょう。
就活スキルを身につけるプログラム
企業研究
自分の就きたい業種・職種の企業について、インターネットなどでどのような会社があるか調べます。
履歴書・職務経歴書の作成
履歴書・職務経歴書は、書類選考で基準になる重要なものです。
特に自己PRや志望動機は、スタッフや他の利用者にアドバイスをもらって、何度も練り直します。
配慮事項説明書の作成
障がい者雇用では、合理的配慮事項説明書が必要になる場合が多いです。
令和6年に事業者による障害のある人への「合理的配慮の提供」が義務化されたため、障がい者の方から事業者に対して、合理的配慮事項説明書を提出し、要望する必要があるのです。
企業側にわかりやすいように、自分の障がいや特性、配慮をして欲しいことをまとめます。
面接練習
面接は、初めてだと緊張して頭が真っ白になってしまうものです。
そうならないために、スタッフに面接官の役をやってもらって、何度も面接練習をします。
就労マッチング・職場体験実習などのプログラム
就労マッチング・職場体験実習などのプログラムには、以下のようなものがあります。
ハローワークや仕事センターへの同行
ハローワークや仕事センターには、障がい者専用窓口があります。
就労移行支援事業所のスタッフに同行してもらい、窓口の担当者を紹介してもらうと、担当者が面談をしてくれ、自分に合った就職先を紹介してくれます。
合同面接会
障がい者雇用の特例子会社などは、合同面接会を開催することがあります。
スタッフに同行してもらって面接会に行き、そこで面接をして、就職が決まることもあります。
職場体験実習
職場体験実習を行っている企業では、実際の職場で仕事を体験します。
何度も職場体験実習に行くうちに、そこに就職が決まることもあります。
企業訪問
自分が就職を希望している企業に、スタッフと一緒に訪問し、面談をしてもらいます。
職場定着支援
就職した後、半年間、就労移行支援のスタッフに職場定着支援を受けることができます。
定着支援とは、定期的な面談や職場訪問を通じて、職場環境の調整を行ったり、必要に応じて上司や同僚との関係を円滑にするための橋渡しをしてもらったりする支援のことです。
就職しても、不安が大きい場合や、困りごとがあって誰にも相談できない場合などは、特に助かります。
就労移行支援の訓練内容に関するよくある質問

ここでは、就労移行支援の訓練内容に関するよくある質問にお答えします。
1:全部の訓練に参加しなければいけない?
いいえ、全部の訓練に参加する必要はありません。
担当スタッフと相談して、個別支援計画を作るので、自分のペースで必要な訓練を受けることができます。
2:どの事業所でも訓練内容は同じ?
事業所によって訓練内容は全然違います。
IT系の資格取得に特化しているところや、心理教育に特化しているところ、軽作業を主に行うところなど、いろいろな事業所があるので、よく調べて、一度体験に行ってから決めましょう。
3:対人恐怖や社交不安障害があるけど個別訓練は可能?
就労移行支援では、個別に担当スタッフがつき、一人ひとりに個別支援計画を立てるため、対人恐怖や社交不安障害がある方には、個別訓練を行うことも可能です。
ただし、事業所によって訓練内容が違うため、内容によっては個別訓練を行いにくいところもあります。
どのような訓練を行っているのか、個別訓練は可能か、事前に問い合わせてみましょう。
4:苦手なことはやらなくてもいい?
人によって得意不得意があるので、苦手なこと、向いていないことは無理にやらなくてもいいですが、苦手を克服することで、見えてくる未来もあります。
苦手なことは、担当スタッフに素直に言って、どう向き合うか一緒に考えてもらうと良いでしょう。
5:トレーニングにノルマはある?
就労移行支援は、雇用契約が発生しないため、成果に対する報酬(工賃)も発生しません。
そのため、ノルマは基本ありません。
ただし、事業所によっては、作業に「今日はここまでやる」という課題が出る場合もあります。
就労移行支援の訓練内容は一人ひとりの特性やペースに合わせて組まれるから安心!

就労移行支援の訓練内容を解説してきました。
「こんなにあるの?」と思われた方もいるかもしれませんが、すべての事業所ですべての内容を行うわけではありません。
事業所によって訓練内容は違いますし、一人ひとりの特性やペースに合わせて個別支援計画を立ててもらえるので、安心してトレーニングを受けることができます。
兵庫県・埼玉県・東京都にあるサンヴィレッジでは、セルフマネジメントやセルフケアからビジネスマナー、PCスキル、就活サポートまで、一人ひとりの特性を理解し、それぞれのスキルやペースに合わせたきめ細かいサポートを行っています。
近郊の方は、ぜひ一度体験に行ってみてはいかがでしょうか。




