就労移行支援は手帳なしでも利用可能!その方法や必要な手続きを分かりやすく解説

就労移行支援は主に障がいや難病を持つ方が対象となる障がい福祉サービスです。
そのため、就労移行支援を利用したいと思っているものの、障害者手帳がないと利用できないのではないのでは、と思ってる方は多いのではないでしょうか。
結論として、就労移行支援は手帳なしでも利用することが可能です。
この記事では、就労移行支援の対象者の条件、必要書類、手帳なしで利用するための手順などを詳しく解説していきます。
【結論】就労移行支援は手帳なしでも利用可能
就労移行支援は障害者手帳がなくても利用することができます。
ただし、以下の対象者の条件に当てはまっていることと、必要書類がそろっていることが条件です。
就労移行支援の対象者の条件は、以下の通りです。
就労移行支援の対象者の条件
就労移行支援を利用できるのは、以下の3つの条件をすべて満たしている場合です。
年齢が18歳以上65歳未満である方
就労移行支援を利用するには、18歳以上65歳未満である必要があります。
18歳以上であれば、在学中でも利用できる場合もあります。
障がいや難病を抱えている方
就労移行支援は、障害福祉サービスの一環です。
したがって、障がいや難病を抱えている方が対象となります。
ただし、医師の意見書があれば、障がいや難病と診断されていなくても、利用可能です。
一般就労(一般枠での雇用)を希望している方
一般就労とは、一般企業や公共機関に通常通り勤務することを指します。
手帳のない方は障がい者雇用を利用できないため、あくまで一般雇用での雇用になります。
一般雇用で就労する際、自分の症状を開示して働く(オープン就労)か、何も告げずに障がいや難病を隠して働く(クローズ就労)かは、個人の自由です。
福祉的就労である就労継続支援事業所への通所を考えている方や、体調や精神面が安定しておらず、毎日継続して通うことができない方は、原則として利用を推奨されていません。
就労移行支援を手帳なしで利用するために必要な書類
就労移行支援を利用するのには、障害者手帳は必ず必要というわけではありません。
手帳なしでも、以下の書類のうちどれか一つあれば、障害福祉サービス受給者証を発行してもらえる場合が多いです。
医師の診断書もしくは意見書
精神科もしくは心療内科などに受診されている方であれば、医師に診断書か意見書を書いてもらうのが一番手っ取り早いです。
主治医が、その人が就労移行支援を利用することが適していると判断すれば、書いてもらえます。
意見書は診断書とどう違う?
医師の診断書と意見書は、まったく違う書類です。
診断書は、病名や障がい名、症状や診断内容が書かれたもので、精神障がい、発達障がい、うつ、適応障がいなどの診断が下りた人は書いてもらうことができます。
一方、意見書は、その人の病気や症状についての意思の意見が書かれたものです。
そのため、医師がその人が就労移行支援の対象者になると判断すれば、発達障がいのグレーゾーンやはっきりとした診断名のつかないような症状でも、意見書を書いてもらうことができます。
ただし、就労移行支援の利用を認可するのは自治体なので、自治体によって判断は異なります。
障害年金証書
障害者手帳を持っていなくても、障害年金を受けているのであれば、その証書や払込み通知書などにより、利用対象となるケースが多いです。
障害年金は手帳よりも取得が難しいため、障がいを認められることが多いでしょう。
自立支援医療受給者証
精神科もしくは心療内科などに通院していて、自立支援医療を受けている方は自立支援医療受給者証でも問題ありません。
自立支援医療受給者証は、医師の診断書が必要なものなので、一定の病状や症状があって定期的に通院している証拠になります。
就労移行支援を手帳なしで利用するための手順
就労移行支援を手帳なしで利用するためには、障害福祉サービス受給者証を取得する必要があります。
障害福祉サービス受給者証を取得するためには、必要書類を持参の上、自治体の担当課にて手続きを行うことが必須です。
就労移行支援を手帳なしで利用するための手順は次の通りです。
- STEP1:障害福祉サービス受給証を申請する
- STEP2:就労移行支援事業所と契約する
それぞれ詳しくみていきましょう。
STEP1:障害福祉サービス受給者証を申請する
まずは、就労移行支援を受けるための障害福祉サービス受給者証を申請します。
1、利用したい就労移行支援事業所を選ぶ
就労移行支援事業所の情報は、ネットで調べても出てきますが、自治体の障害福祉課や、地域活動支援センター、精神保健センターなどでも情報を得ることができます。
自分で調べてみたものの、その事業所が自分に合っているかどうかわからない場合は、見学や体験に行ってみましょう。
一人では自信がなければ、保健師に頼むと同行してくれる場合があります。(※対応可否は自治体によって異なります)
就労移行支援事業所は、その事業所ごとに、内容やカリキュラムが全く異なるので、最低でも3か所くらい体験に行ってみるのがおすすめです。
実際に体験してみることで、その場の空気や、通所している人の雰囲気もつかむことができます。
2、自治体の障害福祉課で就労移行支援を利用したい旨を伝え、計画相談を申請する
行きたい事業所が決まったら、自分の住む自治体の役所の障害福祉課に行き、就労移行支援を利用したい旨と、利用したい事業所を伝えます。
すると、申請書をもらうことができ、相談支援事業所につなげてくれます。
3、必要書類を提出する
申請書や、その他の必要書類を自治体の担当課に提出します。
4、認定調査を受ける
認定調査は、自治体によって役所に行く場合と、訪問してくれる場合があります。
申請時に決めた日時に、担当職員と面談し、家族構成や日常生活における問題など、心身の状況に関する106項目のアセスメントに答えなければなりません。
また、生活リズムが整っているかどうか、いつから就労移行支援を利用するのかなども聞かれます。
5、サービス等利用計画案を提出する
サービス等利用計画案は、基本的に相談支援事業所の計画相談員と相談して決めます。
相談支援事業所に行く場合もありますが、相談員さんが訪問してくれる場合もあります。
自治体によっては、自分で作成したセルフプランを認めているところもありますが、自分で作るのは大変なので、計画相談員さんと相談して作成する方が負担が少なくなります。
6、支給が決定し、受給者証が発行される
障害福祉サービス受給者証の支給が決定したら、電話や郵送で通知が来ます。
受給者証が届くまでには、自治体によって時間がかかる場合もあります。
STEP2:就労移行支援事業所と契約する
受給者証が届いたら、まずは行きたい就労移行支援事業所に連絡します。
その後は就労移行支援事業所の案内に従い、契約手続きを行いましょう。
7、就労移行支援事業所と契約する
就労移行支援事業所に行き、利用開始日や通所日数などを決め、契約を結びます。
この時、事業所の方から利用についての細かい説明があります。
前年度の収入によっては利用料金がかかる場合があるため、しっかりと説明を受けましょう。
8、就労移行支援事業所のサービスを利用開始する
いよいよ利用開始です。
契約時に決めた利用開始日に、就労移行支援事業所に行きましょう。
利用開始時には就労移行支援事業所のスタッフが個別計画を作成します。
個別支援計画とは、就労移行支援事業所が、利用者に対してどのような支援を行うかを明記したものです。
この個別支援計画に沿って支援が行われます。
就労移行支援は、契約から2年間は、希望する限り利用することが可能です。
就労移行支援事業所を利用するなら手帳は申請すべき?
就労移行支援を利用するのに、手帳は必ずしも必要ではありません。
その理由は以下の2つです。
- 障害者手帳の有無によって受けられるサービスやカリキュラムの内容は変わらない
- 就労移行支援を利用するために障害者手帳を取得するメリットが少ない
障害福祉サービス受給者証を取得するためには、現在の障がいや難病のために就労が難しいことを証明する必要がありますが、これは治医の診断書や意見書、自立支援医療受給者証などで証明することが可能です。
そのため、「障害者手帳の方がスムーズに障害福祉サービス受給者証を取得できるのでは」という心配は必要ありません。
しかし、障害者手帳を取得しておけば、税金の控除や公共料金の割引が受けられるだけではなく、就労移行支援事業所に通う交通費が少し割引になることがあります。
そのため、就労移行支援以外の面で障害者手帳を所有するメリットを享受したい方は取得するのがよいでしょう。
一方で、障害者手帳を取得するデメリットは、取得時に診断書料がかかることや、手続きが必要なこと、申請から発行までに2か月〜3か月かかることです。
結論として、「障害者手帳を取得することによるメリットが大きい」「障害福祉サービス受給者証を申請する際に診断書を書いてもらうなら、ついでに障害者手帳も申請したい」と感じる方は申請し、今現在の生活で手帳がなくても不自由がない方は無理に申請する必要はありません。
手帳なしだと一般雇用枠でしか働くことはできない
手帳なしで就労移行支援を利用するデメリットは、障がい者雇用枠では就職できないことです。
一般雇用枠でしか応募できないので、合理的配慮を申請する機会はなく他大多数の健常者と同じように働く必要があります。
一方で、手帳があれば障がい者雇用枠で応募することが可能です。
合理的配慮を得て働きたいと思うのであれば、障害者手帳があった方が就職しやすいと言えます。
就労移行支援の利用は手帳なしでも可能!安心して利用しよう!
就労移行支援は障害者手帳なしでも充分利用できます。
手続きにおいても障害者手帳が必須になる場面はなく、医師の診断書や意見書、自立支援医療受給者証などで申請可能です。
また、受けられるサービスやカリキュラムにも違いはありません。
つまり、障害者手帳を持っていても、持っていなくても、就労移行支援は同じように利用できるのです。
とはいえ、利用者様一人ひとりの状況や体調は異なるため、それぞれ訓練内容は異なります。
就職するためには「資格やパソコンスキルが必要」と思われがちですが、さらに大切なのは健康管理や日常生活管理、対人スキルなどの土台です。
土台がしっかりしていなくても就職自体はできるかもしれませんが、資格やスキルだけを磨いても継続して働ける力はつきません。
サンヴィレッジは兵庫県神戸市に2拠点、東京都文京区に1拠点、埼玉県川口市に1拠点持つ就労移行支援事業所です。
一人ひとりの状況に寄り添い、コミュニケーションに不安がある方にはあいさつや返事などの基本から訓練できるような支援を行っています。
特に障害者手帳を持っていない方は一般雇用のみ対象となるため、まずは土台を作り、一般雇用の壁をクリアできるような支援を行っています。
就労移行支援で課題を見つけ、自分に合った仕事を探していきましょう。
サンヴィレッジでは、電話やお問い合わせフォームだけではなくLINEでも問い合わせを受け付けています。
ぜひお気軽にお問い合わせください。