就労移行支援で就職できなかった時の解決策|次のステップに進むための選択肢は?

就労移行支援を利用して就職活動した場合、ほとんどの方が就職することができますが、実は中にはなかなか就職できず退所してしまう方もいらっしゃいます。
就労移行支援で就職活動をしたのに就職できなかった要因には様々なものがあり、就職できなかった要因を探すことも大切ですが、次のステップを考えることが何より重要です。
その理由は、次のステップを考えずに退所してしまうと目指すべきところを見失なってしまうからです。
この記事では、就労移行支援を利用しても就職できなかった場合の次のステップの選択肢や就職できなかった要因について詳しく解説していきます。
【ケース別】就労移行支援で就職できなかった場合の解決策
以下の3つのケース別の就労移行支援で就職できなかった場合の解決策は以下の通りです。
- ・継続して訓練を受けたい方
- ・すぐに就職したい方
- ・就労に対する不安が大きい方
それぞれ詳しく見ていきましょう。
継続して訓練を受けたい方
継続して訓練を受けたい方は、以下の5つの選択肢があります。
- ・就労継続支援事業所A型・B型の利用
- ・職業訓練等(ハロートレーニング)の利用
- ・地域障がい者職業センターの利用
- ・自立訓練事業所の利用
利用できる選択肢を詳しく見ていきましょう。
就労継続支援事業所A型・B型の利用
一般就労で就職できなかった場合、就労継続支援事業所での福祉就労を考えるのも一つの選択肢です。
就労継続支援事業所には、A型とB型があり、A型は雇用契約を結んで最低賃金が出ます。
ただし、週5日フルタイムのところが多く、勤怠が厳しいため、体調が安定していることが必須です。
B型は、好きな曜日に何日行くか自分で決められて、自分のペースで通うことができますが、工賃は安く、時給100円〜500円程度のところがほとんどです。
一般就労に比べたら、障がいへの理解や配慮もあり、福祉の専門職員が必ずついているのも安心して働くことができます。
「働きたいけど一般企業へ就職するのは不安…」という方は就労継続支援を利用するのがおすすめです。
職業訓練等(ハロートレーニング)の利用
職業訓練(ハロートレーニング)とは、求職者が就職に必要なスキルや資格を身につけるための公的な職業訓練制度です。。
聴覚障がい者向けの手話通訳付き講座など、障がいに配慮した職業訓練を受けられる場合があり、障がい者への配慮がある程度整っているのが特徴です。
また、地域障がい者職業センターやハローワークの障がい者専門援助部門 と連携しており様々な面から就職サポートを受けることができます。
1日の訓練時間は講座によって様々ですが、概ね6〜8時間の訓練を3〜6か月継続して受講する必要があるため、必然的に体調が安定している方が対象となります。
ただし、短期(1か月程度)かつ通信講座型の講座もあるので体調や必要なスキルに合わせて受講するのが良いでしょう。
健常者と同じようにスキルや資格を習得したい方にぴったりの制度です。
地域障がい者職業センターの利用
地域障がい者職業センターは、各都道府県にあり、職業リハビリテーションや職場適応援助、リワーク支援などを行う機関です。
地域障がい者職業センターは、スキルアップして就職するための施設ではなく、今の自分のスキルと能力を活かした仕事に就くことを目的としています。
そのため、作業を行いつつ、ミスしないための対処法や休憩の取り方などを実践的に学びます。
グループワークなどで実際の職場の場面を想定しながら、職場でのルールやマナー、同僚への声のかけ方、上司への質問の仕方なども練習することが可能です。
「自分に合った仕事を見つけるためのアドバイスが欲しい人」や「ハローワークなどの支援だけでは不安がある人」などにおすすめの機関です。
自立訓練事業所の利用
自立訓練とは、生活訓練とも言い、障がいのある方が自立した生活を送るために必要な訓練や支援を行う場です。
生活リズムを整えたり、コミュニケーション能力を高めたりといった基本的な生活訓練から、オフィス事務や軽作業、IT系のスキル訓練など、事業所によって様々なプログラムが用意されています。
就労移行支援が少しハードに感じた方が、働く前の土台を整えたいと考える場合に向いています。
すぐに就職したい方
もう生活リズムや体調が整っていて、すぐにでも就職したいという方は、以下の3つの選択肢があります。
- ・ハローワークや仕事センターの障がい者専用窓口へ相談
- ・障がい者就業・生活支援センターの利用
- ・障がい者雇用専門の転職エージェントの活用
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ハローワークや仕事センターの障がい者専用窓口へ相談
ハローワークや仕事センターでは、必ず障がい者の就労に専門知識を持った担当が一人ついて、その人に合った求人を紹介してくれます。
障がい者雇用以外の求人も希望すれば探してくれるので、一般雇用で働きたい方にも向いています。
すぐに就職活動に入りたい方だけではなく、「どんな仕事が向いているか分からないのでアドバイスが欲しい」という方にもおすすめの機関です。
障がい者就業・生活支援センターの利用
障がい者就業・生活支援センターは、「なかぽつ」や「しゅうぽつ」とも呼ばれ、障がい者の職業生活における自立のため、職場実習の斡旋などを行っている機関です。
就職後も職場訪問などにより、職場での状況を把握したり、仕事や人間関係の悩みなどの相談に乗ったりといった定着支援も行ってくれます。
就職前だけでなく就職後もサポートを受けたい方におすすめの機関です。
障がい者雇用専門の転職エージェントの活用
転職エージェントは多数ありますが、障がい者専門の雇用支援サービスも活用できます。
障がい者専門の雇用支援サービスでは、障がい者のための求人が多数紹介されており、すぐに仕事を探すことが可能です。
具体的なサービス内容は各社異なりますが、たとえば障がい者の就職・転職に精通したキャリアプランナーが、1対1で相談に乗ってくれ、就職までサポートしてくれるサービスもあります。
履歴書の書き方や、面接で強調したい強みや自己PRの伝え方などもサポートしてもらえるところもあります。
一般的な求人サイトやハローワークだけでは見つからない、より手厚いサポートや条件の良い求人を探したい人におすすめのサービスです。
就労に対する不安が大きい方
就労移行支援に通ってはいたが、まだ就労に関して不安が多く、すぐに就労を考えることができない、という方は、以下の3つの選択肢があります。
- ・地域生活支援センター・地域活動支援センターの利用
- ・サポートを受けながら家で過ごす
- ・グループホームで支援を受けながら暮らす
それぞれ詳しく見ていきましょう。
地域生活支援センター・地域活動支援センターの利用
地域生活支援センターまたは地域活動支援センターは、各自治体にあり、障がいのある方が他の人と交流したり、創作活動や生産活動をしたりする機会を提供し、日常生活や社会生活での自立を支援する役割を担っています。
センターに日中出かけることで、生活リズムを整えたり、他の利用者やスタッフとコミュニケーションしたりして、日常生活を維持することが可能です。
「すぐに就職は難しいが、何か活動したい」「体調や気分に合わせて通える場所 を探している」方におすすめの機関です。
サポートを受けながら家で過ごす
どこかに出かけることに不安がある方は、家に居ながらサポートを受けることも可能です。
障がい福祉サービスの一つである居宅介護で、ヘルパーを頼んで家事を手伝ってもらったり、自立支援医療の枠内で訪問看護を受けることもできます。
週に1日でも2日でも、他人と接する機会を持つことで、社会生活を維持することができます。
グループホームで支援を受けながら暮らす
精神障がい者のためのグループホームというのもあります。
今はグループホームといっても一軒家ではなくアパートタイプが多いので、プライバシーが保てるだけでなくスタッフが常駐しているところも多く、何かと不安な夜間の支援も受けられます。
実家にいることがストレスになる方や、一人暮らしに不安がある方は、選択肢の一つとして考えてみるのも良いでしょう。
次のステップに進むためには「なぜ就職できなかったか?」という要因を明確にすることが重要!
就労移行支援で就職できなかった場合の選択肢をケース別に11例解説してきました。
これらの選択肢を選ぶためには、自分がなぜ就労移行支援で就職できなかったのかを考える必要があります。
就職できなかったのには、それなりに理由があるはずです。
それを明確にしない限りは、次の選択肢を適切に選ぶことはできません。
次のステップに進むためには、自分をしっかり振り返り、就職できなかった要因を明確にすることが重要なのです。
就労移行支援で就職できなかった要因は?
就労移行支援で就職できなかった場合に考えられる主な要因は以下の5つです。
- 要因1:体調が安定していない
- 要因2:自分の病気や特性を客観的に把握し、コントロールできていない
- 要因3:希望する仕事を限定し過ぎている
- 要因4:就労スキルが足りていない
- 要因5:就職に対して消極的な気持ちや不安がある
それぞれ詳しく見ていきましょう。
要因1:体調が安定していない
体調が安定しておらず、就労移行支援にも安定的に通えていなかった場合、就労は難しいと判断するのが妥当です。
特に障がい者雇用では、就労移行支援での通所日数を重視します。
安定的に通えていないと、「この人はきちんと働き続けることができない」と判断されてしまうのです。
体調が安定しない人は、まずは医療のサポートをきちんと受けましょう。
就職するには、体調の安定は前提条件です。
まず、適切な医療のサポートを受け、自己管理の仕方を学び、体調を安定させてから就職活動をするようにしましょう。
要因2:自分の病気や特性を客観的に把握し、コントロールできていない
自分の病気や障がいの特性を客観的に把握することは、就労にあたって重要なことです。
たとえば、「マルチタスクが苦手」「見通しが立たないと不安」などの特性が理解できていないと、周囲にどのように配慮して欲しいのかが説明できません。
また、苦手なことを無理して引き受けて、失敗したり体調を崩したりしてしまいます。
自分の特性を客観的に把握して配慮事項を説明できることは、障がい者雇用に欠かせません。
また、たとえば双極性障がいなどで感情の波を全くコントロールできない場合は、就職は難しいでしょう。
セルフモニタリングやセルフケアで病気をコントロールすることは、就労にあたって必須とも言えます。
要因3:希望する仕事を限定し過ぎている
希望する仕事を、特定の職種にこだわり過ぎると、職種によっては就職が難しい場合があります。
また、福利厚生や待遇の理想が高すぎると、就職先の選択肢が狭くなり、応募倍率が高かったり、求められるスキルが高すぎたりして、不採用となる可能性が高くなります。
「やりたい」仕事よりも「できる」仕事を探した方が、選択肢も広がり、採用確率も高くなるでしょう。
要因4:就労スキルが足りていない
就労移行支援は、就職のためのスキルを学ぶところでもありますが、あまりに専門的な知識や、特定の技術を必要とする仕事を希望している場合、その知識やスキル、経験が足りていないと、不採用になる確率が高くなります。
専門的な職業に就きたい場合は、職業訓練校などで専門的なスキルを学んだり、職場実習で経験を積んだりすると良いでしょう。
あるいは、基本的なPCスキルや社会人としてのルールやマナーが身についていない場合は、就労移行支援の利用期間を延長して学ぶか、自立訓練や地域障がい者職業センターなどで基礎からやり直す必要があるかもしれません。
要因5:就職に対して消極的な気持ちや不安がある
そもそも就職に対して消極的な気持ちや不安が大きい場合、就職活動が上手くいかない場合が多いです。
企業は「自社に入ってこういう活躍をしたい!」と前向きに思っている人を採用します。
そのため、あまり積極的な気持ちがない人は、採用されません。
もし、就職に対して不安が大きい場合は、就職活動を一旦やめて、地域活動支援センターや病院のデイケアに通うか、家やグループホームで支援を受けながらゆっくり過ごすという選択肢もあります。
就労移行支援で就職できなかった場合は要因を明確にして解決策を見つけよう!
就労移行支援で就職できなかった場合、その事業所のせいにしてしまう方も多いですが、実は自分に要因がある場合も多いのです。
その要因を明確にしないと、次にどこへ向かって行けばいいのかわかりません。
就職できなかった要因を分析して明確にした上で、次のステップに進む解決策を見つけるようにしましょう。
就労移行支援事業所「サンヴィレッジ」では、一人ひとりとの面談や、自己理解のプログラムを通して、就職できない要因を明確にし、就職につながるようにきめ細かく支援していきます。
事業所があるのは、兵庫県神戸市、東京都文京区、埼玉県川口市です。
就労移行支援に関してお悩みの方は、サンヴィレッジまでお気軽にご相談ください。