就労移行支援事業所の利用条件は?利用の可否をケース別に解説!

就労移行支援を利用したいと考えている人の中には、「自分は利用できるの?」「どんな利用条件があるの?」と疑問に思っている方は多いのではないでしょうか。
就労移行支援には明確な利用条件があり、それをクリアできなければ利用することはできません。
本記事では、就労移行支援の基本的な利用条件から、年齢や就業状況、障害の種類など、さまざまなケースにおける利用の可否について詳しく解説します。
就労移行支援の利用条件
就労移行支援の利用条件は、以下の4つです。
- 18歳以上65歳未満である
- 一般就労を希望している
- 障がいもしくは難病を抱えている
- 現在休職中または在職中でない
それぞれ詳しく見ていきましょう。
18歳以上65歳未満である
就労移行支援の利用条件には、年齢制限があります。
18歳以上65歳未満であることが条件です。
また、18歳未満(15歳以上)の障害児の方でも、児童相談所や自治体の判断で利用を認められることもあるようです。
一般就労を希望している
就労移行支援は、一般就労を希望している人を対象としたサービスです。
したがって、「福祉就労」を目指す方は対象外となります。
一般就労とは?
一般就労とは、普通の一般企業や官公庁などに、一般職(稀に専門職)として就職することです。
一般就労はさらに「一般雇用」と「障害者雇用」に分けられます。
正規雇用・非正規雇用は問いませんが、主に正規雇用を目指す方が多いです。
障害者雇用では、一般企業の特例子会社に就職する方も多く見られます。
障がいもしくは難病を抱えている
就労移行支援を利用できるのは、障がいや難病を抱えている方です。
対象となる障がいは、主に以下の通りです。
診断名が以下に当てはまらない場合でも、医師の意見書があれば、利用できる場合もあります。
精神障害 | うつ病、統合失調症、双極性障害、てんかん、パニック障害、不安障害、適応障害、強迫性障害、自律神経失調症、対人恐怖症、境界性パーソナリティー障害、人格障害、PTSD、高次脳機能障害 各種依存症など |
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発達障害 | 自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如・多動性障害(ADHD)、アスペルガー症候群、広汎性発達障害(PDD)、学習障害(LD)、チック症など |
知的障害 | 知的障害、境界知能など |
身体障害 | 視覚障害、聴覚障害、肢体不自由、免疫機能障害、脳性麻痺、内部障害など |
難病 | アトピー性脊髄炎、筋ジストロフィー、関節リウマチ、アンジェルマン症候群、潰瘍性大腸炎、甲状腺ホルモン不応症、神経線維腫症、先天性横隔膜ヘルニア、ダウン症候群、骨髄異形成症候群、パーキンソン病、若年性突発性関節炎、ペリー症、ミトコンドリア病、肥大型心筋症、突発性難聴、もやもや病 など障害者総合支援法において対象とされる難病(369疾病) |
現在休職中または在職中でない
就労移行支援は、現在休職中または離職しており、就労をしていない方が対象です。
アルバイト・パート含め、「雇用契約を行っていない者」とされています。
契約社員、派遣社員として働いている方も対象外です。
就労移行支援の利用条件に障害者手帳の保有は入っている?
就労移行支援の利用条件には、障害者手帳の保有は入っていません。
手帳を持っていなくても、主治医の診断書または意見書があれば、通用する場合が多いです。
また、自立支援医療受給者証も、有効な書類となります。
主治医の診断書や意見書、自立支援医療受給者証は、障害福祉サービス受給者証の申請に必要になります。
障害福祉サービス受給者証は必須となる
障害者手帳は必ずしも必要ではありませんが、障害福祉サービス受給者証は必須となります。
障害福祉サービス受給者証は、各自治体の障害福祉課などに申請します。
申請に必要な書類
申請に必要な書類は、以下の3つです。
- 障害者手帳や療育手帳(持っている方のみ)または医師の診断書や意見書(手帳のない方のみ)または自立支援医療受給者証
- マイナンバーカード
- 障害福祉サービス受給者証申請書(窓口でもらえます)
受給者証の発行手順
受給者証の発行手順は以下の通りです。
①障害福祉サービス受給者証の申請
まず、自治体の障害福祉課窓口で、「就労移行支援を利用したいので、受給者証を申請したい」ということを伝え、必要書類を提出して申請します。
②認定調査
自治体の福祉担当職員による認定調査(ヒアリング)があります。
これは、サービス利用の妥当性を確認するために行われます。聞かれることは、生活の状況や心身の状態、生活や就労の目標などについてです。
自分の状況や要望を上手く伝えられるか不安な方は、家族や相談支援専門員に同席してもらいましょう。
③サービス等利用計画の作成、もしくはセルフプランの作成・提出
受給者証を申請する際には、サービス等利用計画、もしくはセルフプランを提出しなければなりません。
▶サービス等利用計画
指定特定相談支援事業所の相談支援専門員が、ヒアリングしながら一緒に作成してくれます。
自分ひとりで作成することはできない書類です。
▶セルフプラン
自分で作成し、提出する書類です。
サンヴィレッジでは、担当の職員がヒアリングしながら一緒に作成します。
サービス等利用計画とは、本人の希望や目標、日常生活の課題、サービス利用のスケジュールなどを決めるものです。
サービス等利用計画の作成、セルフプランの作成は無料でできます。
④障害福祉サービス受給者証の発行
提出されたサービス等利用計画をもとに、支給決定の審査が行われます。ここで決定すれば、受給者証が発行されます。
【ケース別】こんな場合は就労移行支援の利用条件をクリアできる?
利用条件を理解できている方でも、実際に自分の状況に当てはめてみると「こんな場合は利用条件をクリアできるのだろうか」と疑問に思う方も多いでしょう。
そんな時は、以下の13のケースから自分に近いものを見つけて参考にしてみてください。
ケース1:働いた経験がない
「働いた経験がない」もしくは「アルバイトやパートしかしたことがない」という方でも利用条件をクリアすることは可能です。
就労移行支援の利用条件には「就労経験の有無」という項目はないため、どんな経歴を持つ方でも基本的な利用条件を満たせば、就労移行支援を利用することができます。
ケース2:障害年金を受給している
障害年金を受給していても、就労移行支援は利用できます。
たとえ1級であっても、他に収入がなければ無料で利用することが可能です。
ただし、もし一般就労して年収が高くなれば、障害年金は打ち切られるケースもあります。
ケース3:現在休職中で転職先を探している
休職中に転職を目的として就労移行支援を利用することは、原則として認められていませんが
復職を目指していたが、復職可能期限を過ぎてしまい復職できなかった場合には
休職していた会社を退職した後も、継続して就労移行で新たな就職先を探す支援を受けることが可能です。
復職・転職迷っている場合は、一度就労移行支援事業所に相談してみましょう。
ケース4:休職中で復職を目指している
現在休職中で、いずれ同じ職場に復職を目指している方は、自治体の判断により、就労移行支援の利用が認められる場合があります。
以下の条件をクリアすることが必要です。
- 現在雇用されている企業、地域の就労支援機関や医療機関などによる復職支援が見込めないまたは困難である場合
- 本人が復職を希望し、企業と主治医が、支援を受けることにより復職するのが適当であると判断した場合
- 本人にとって、就労移行支援を利用することにより、効果的且つ確実に復職できると自治体が判断した場合
上記3つの条件を満たしている場合に限り、利用が検討されます。
就労移行支援の中には、リワークプログラム(復職支援)を行っている事業所もあるので、まずリワークプログラムを利用することを考えてみてはいかがでしょうか。
ケース5:在職中だが転職目的で就労移行支援を利用したい
在職中の方は、就労移行支援を利用することができません。
就労移行支援は、あくまでも「就労していない人」が条件です。
したがって、在職中の方が転職目的で就労移行支援を利用することはできません。
転職目的で利用したいのであれば、求職者支援制度や転職エージェントを利用しましょう。
ケース6:高校に在学中だが就労移行支援に通所したい
高校生の場合も、一定の条件を満たせば、自治体の判断により利用できるケースがあります。
ただし、高校生は18歳未満の方もいるので、3年生の夏休みや冬休みに体験入所してみて、卒業と同時に通所し始めるというケースが多いです。
ケース7:大学に在学中だが就労移行支援に通所したい
大学、短大、大学院、高専などに在学中の方も、一定の条件を満たせば、自治体の判断により利用できるケースがあります。
一定の条件とは、「卒業見込みのある卒業年度の大学生で、在学する大学や地域において就職支援が受けられる見込みがない場合」です。
利用条件に当てはまるかどうかは、住んでいる地域の障害福祉課に確認してみましょう。
ケース8:就労移行支援を利用して一度就職したが、離職したので再度利用したい
利用の回数制限は明確に定められていないものの、再利用できるかどうかは自治体の判断によります。
住んでいる地域の障害福祉課に確認しましょう。
ケース9:他の事業所を就職せずに途中で退所したが、もう一度同じ事業所を利用したい
2年間の期限内であれば、いくつでも事業所を利用することができる自治体もありますが、途中で退所した場合は再度利用できないという判断がくだる自治体もあります。
このケースも、お住まいの地域の障がい福祉課に確認することをおすすめします。
ケース10:他の事業所を途中で退所したが、利用期間内なので別の事業所を利用したい
利用期間内であれば、別の事業所を利用することは問題ないように思えますが、最終的な判断は自治体にゆだねられます。
利用できない場合もあるので注意しましょう。
ケース11:就労移行支援を利用して2回就職したが、離職したので3回目の利用をしたい
利用の回数制限は明確に定められていないため、利用しても良いように思う方も多いかもしれませんが、最終的には自治体の判断にゆだねられます。
ケース12:定年退職後に就労移行支援を利用したい
定年退職後でも、65歳未満であれば利用可能です。
ケース13:他の障害福祉サービスを利用している
就労継続支援など福祉就労系の障害福祉サービスを利用している場合は、併用して利用することはできません。
自立訓練や居宅介護などのサービスを利用している場合は、就労移行支援に通所することが可能であると計画相談員または自治体が判断した場合は、利用できるケースもあるかもしれません。
就労移行支援は4つの条件に当てはまれば利用できる!
就労移行支援の利用条件は、「18歳以上65歳未満である」「一般就労を希望している」「障がいもしくは難病を抱えている」「現在在職中でない」の4つです。
この4つすべてに当てはまれば、障害者手帳がなくても利用できます。
意外とハードルは低いので、就労移行支援の利用を検討している方は、一度自治体の障害福祉課や就労移行支援事業所に相談してみてはいかがでしょうか。
就労移行支援事業所サンヴィレッジでは、一人ひとりと「挑戦したい仕事」「得意なこと・苦手なこと」を話し合い、訓練内容から就職までをサポートしています。
事業所は兵庫県神戸市に2つ、東京都文京区に1つ、埼玉県川口市に1つあります。
「利用条件に当てはまるか確認したい」という方はサンヴィレッジまでお問い合わせください。