就労移行支援とリワークはどこが違う?目的や料金、内容を徹底解説
今の職場を心身を壊して休職中で、でもまた働きたいと思っている方の中には、就労移行支援とリワークとはどこが違うのか、よくわからない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
自分がどちらに向いているのか、どちらを選ぶべきなのか、決めかねている人もいるでしょう。
この記事では、就労移行支援とリワークの違いを、目的、対象、料金、内容など細かいことやそれぞれのメリット・デメリット、向いている人の特徴などを詳しく解説していきます。
就労移行支援とリワークの違い

就労移行支援とリワークの違いを、目的・対象・料金・期間・実施団体・利用方法・内容の観点から比較し、解説していきます。
1:目的の違い
リワークの目的は、休職中の方を元の職場に復職できるようサポートすることです。
「復職」が主な目的になるので、「転職」へのサポートはあまりしていません。
一方、就労移行支援の目的は、何らかの障がいをお持ちの方が一般就労(障がい者雇用含め)するのをサポートすることです。
元の職場に戻ることも視野に入れてはいますが、転職も含めて、一般就労を目指せるようサポートしていきます。
復職か転職か迷っている方は、どちらのサービスも実施している事業所を探すと良いでしょう。
2:対象の違い
リワークの対象は、主にうつ病や適応障害などメンタルヘルスの不調や精神疾患で休職中の方です。
基本的には、まだ雇用関係がある会社員(官公庁含む)の方が対象になります。
一方、就労移行支援の対象は、精神疾患だけでなく、身体障がいや知的障がいの方を含め、何らかの障がいや難病を抱える方です。
障がい者手帳をお持ちの方や、障害福祉サービス受給者証をお持ちの方が対象となります。
したがって、リワークと就労移行支援とでは、利用者の範囲が異なっていると言えるでしょう。
3:実施団体の違い
リワークは、その実施団体が4種類あります。
- 自社企業
- 医療機関
- 障がい者職業センター
- 就労移行支援事業所
この4つのうち、どこが実施しているかによって、料金や内容も異なります。
一方、就労移行支援は、就労移行支援事業所だけが行っているものです。
4:料金の違い
料金は、そのプログラムを実施している団体により異なります。
自社企業で行われるリワークについては、会社の制度により扱いが異なりますが、多くの場合は費用を請求されることはありません。
障がい者職業センターで行う場合は、基本的に無料です。
医療機関でのリワークは、健康保険が適用されます。
3割負担が原則ですが、自立支援医療を利用することで、1割負担にすることが可能です。
自立支援医療制度では、所得や重症度によって月額上限額が決められており、それ以上かかることはありません。
多くの場合、5千円〜1万円程度です。
就労移行支援事業所のリワークを利用する場合は、障害福祉サービスの利用料金の体系により、自己負担月額上限額が課されます。
これも、所得に応じたものですが、多くの場合、0円〜1万円程度となります。
5:期間の違い
リワークは、休職中の方が対象なので、期間もそれに応じて数週間〜半年ほどとなります。
これも実施団体によって異なりますが、自社企業でのリワークは数週間〜2ヶ月程度、医療機関でのリワークは半年程度、障がい者職業センターでのリワークは3〜4ヶ月程度が平均です。
一方、就労移行支援は、上限2年ですが、ほとんどの方が少なくとも半年以上は通っています。
したがって、就労移行支援の方が、期間は長めであると言えるでしょう。
6:利用方法の違い
リワークは、実施団体によって利用方法が異なります。
自社企業で行っている場合は、上司や産業医に相談しましょう。
医療機関でのリワークを希望する場合は、まず主治医に相談してみると良いでしょう。
障がい者職業センターで行っているリワークを希望する場合も、主治医と会社への相談は不可欠です。
一方、就労移行支援の利用を希望する場合は、自治体の窓口に相談し、相談支援事業所の相談支援専門員と面談してサービス等利用計画を作成し、自治体に支給決定の認可を受ける必要があります。
ただし、どの場合も、主治医の判断は重要なので、まずはリワークを希望していることを主治医に相談するところから始めましょう。
7:内容の違い
実施しているサービスの内容は、基本的には復職支援ですが、実施している団体によって少し異なります。
就労移行支援事業所内で行われるリワークプログラム
就労移行支援事業所の中には、復職支援に力を入れているプログラム(リワーク的支援)を展開しているところもあります。
就労移行支援事業所内で行われるリワークプログラムは、事業所によって内容が異なります。
しかし、主な内容は、生活管理やレクリエーション、グループワーク、認知行動療法、コミュニケーション訓練(SST)など、復職して再休職を繰り返さないためのリハビリ的なワークが中心となります。
医療リワーク
医療機関でのリワークは、医療の専門性の高さに特徴があります。
病状の回復と再発予防教育を中心とした、医療的に専門性の高いプログラムです。
また、医療機関でのリワークでは、同じような病気を抱えて同じ境遇にある仲間と一緒に取り組んでいける点も魅力的です。
職リハリワーク
障がい者職業センターでのリワークは、厚生労働省の決めたプログラムです。
主に以下の3つの観点で行われています。
- 生活リズムの構築と、体調や気分の自己管理
- 基礎体力・集中力・持続力などの向上
- ストレス対処法・対人スキルの習得
毎日の睡眠時間や活動内容、気分などを記録する生活リズム表を作り、定期的に振り返りをしながら生活リズムの改善と安定を図ること、簡易作業や事務作業に、だんだん負荷を高めながら取り組み、集中力や持続力を高めていくこと、物事の捉え方やコミュニケーションについての理解を深め、再発防止に取り組むことなどが、主な内容です。
リワークなしの就労移行支援
リワークなしの就労移行支援では、セルフケアや生活管理などのセルフマネジメント能力を高める方法、集団認知行動療法や心理教育など、病気や自分の考え方のクセなどについて理解を深めること、グループワークやダイアログなどを通してコミュニケーションスキルを高めること、履歴書や職歴書の書き方指導、面接指導など就職活動へのサポート、そして復職または再就職した後の定着支援などが主な内容になります。
就労移行支援として利用した際のメリット・デメリット

就労移行支援事業所でも、リワークプログラムを行っているところは多いですが、ここでは、敢えてリワークプログラムではなく、就労移行支援として利用した際のメリット・デメリットを挙げています。
就労移行支援のメリット
就労移行支援を利用するメリットは、以下の5つです。
- 支援内容が幅広い
- 料金があまりかからない
- 長期的な支援を受けられる
- 職場体験や職場実習を受けられる
- 就職後もフォローしてくれる
就労移行支援では、セルフマネジメントに始まり、職業訓練(軽作業やPC操作、事務作業、グループワークなど)からコミュニケーション訓練、就職活動へのサポート、就職後の定着支援と、支援内容が幅広いです。
また、障害福祉サービスの一環として行われるため、たいていの場合、リワークよりも料金が安いのもメリットと言えます。
職場体験や実習が受けられることや、就職活動へのサポートは、転職を考えている人向けです。
再就職後のフォローは、元の職場に復職しても利用することができます。
就労移行支援のデメリット
就労移行支援を利用するデメリットは、以下の4つです。
- 利用条件に制限がある
- 一般就労までに時間がかかる可能性がある
- 支援内容の質にバラつきがある
- 集団プログラムが多い
就労移行支援は障害福祉サービスの一環なので、障がい者手帳か、医師の診断書や意見書が必要になるため、利用に制限があります。
また、利用を開始するまでに時間がかかるため、数週間の休職では利用できないことが多いでしょう。
事業所によって支援内容の質にバラつきがあるのもデメリットと言えます。
自分に合ったところを選ばないと、通っている意味がわからなくなることもあります。
集団で行うプログラムが多く、個人作業が少ないため、集団にストレスを感じる方は、これもデメリットになるでしょう。
リワークのメリット・デメリット

リワークも実施している団体によって内容が異なるため、一概には言えませんが、ここでは全体的なメリット・デメリットを挙げています。
リワークのメリット
リワークのメリットは、以下の5つです。
- プログラムが職場復帰に特化している
- メンタルヘルスケアに専門性がある
- 段階的な復職準備ができる
- 同じ立場の人と交流できる
- 再発予防スキルが身につく
リワークの最大のメリットは、プログラムが「職場復帰」に特化しているところです。
そのため、就活支援など余計なプログラムがありません。
医療的意味合いが強いため、メンタルヘルスケアに専門性があり、病気への理解と再発予防スキルが身につくところも大きなメリットです。
また、同じような悩みを抱えて、同じような境遇にある人と交流できるのも、メリットの一つと言えるでしょう。
リワークのデメリット
リワークのデメリットは、以下の5つです。
- 料金の負担が大きい
- 利用条件に制限がある
- 期間の制限がある
- 職場環境に依存しやすい
- 転職支援に限界がある
一番大きなデメリットは、料金の負担が大きいことです。
半数以上が無料で通える就労移行支援と違い、医療機関によっては約2万円かかる場合もあります。
ただし、障がい者職業センターでのリワークは無料なので、経済的な負担をできる限り軽くしたいと思う方は、障がい者職業センターを選ぶと良いでしょう。
また、期間が短いところも、長期の療養とサポートを必要とする方にはデメリットと言えます。
就労移行支援とリワーク、向いているのはどちら?

就労移行支援とリワークのどちらに通った方がいいのか、迷っている方に向けて、どんな方が向いているのかを挙げていきます。
就労移行支援が向いている人
就労移行支援に向いているのは、元の職場に復帰したいと思いながらも、心のどこかでは「転職した方がいいかも」と思っている方です。
自分の病状や障がいを鑑みて、元の職場に戻るよりも、もっと自分に合った働き方があるかもしれない、それを模索したい、という方は、就労移行支援の方が向いているでしょう。
リワークが向いている人
リワークに向いているのは、「元の職場に戻りたい!そのために、現状を打破すべく、なぜこうなってしまったかの分析や、病状の回復、再発予防に取り組みたい」と思っている方です。
リワークは、職場復帰に特化しているので、可能な限り早く現職に戻りたいと思っている方に向いています。
就労移行支援とリワークは併用できる?

就労移行支援とリワークの併用は原則として推奨されていませんが、状況によっては、主治医と自治体との相談の上で、段階的な移行や一部併用が認められる場合もあります
たとえば、「医療リワーク → 就労移行支援」「障がい者職業センターのリワーク → 就労移行支援」といった流れで活用することで、よりスムーズに社会復帰ができる場合もあります。
利用にあたっては、まずは主治医と自治体(障害福祉課)への相談が重要です。
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リワークと就労移行支援の違いを解説してきましたが、どちらが自分に向いているのか、わかってきたでしょうか。
迷っているなら、リワークプログラムのある就労移行支援事業所に行ってみるのがおすすめです。
兵庫県にあるサンヴィレッジは、就労移行支援事業所でありながら、「リワーク・復職支援コース」があります。
一人ひとりの特性や体調に合わせた支援で、復職をサポートしてもらいながら、もっといい道があれば、そちらを探ることもできます。
まずは一度体験に行ってみてはいかがでしょうか。




