就労移行支援事業所のプログラム内容を徹底解説!事業所ごとに違いはある?

就労移行支援事業所では、利用者が無理なく職場に定着し、自分の体調などをコンロトールするためのスキルを身につけるプログラムを実施しています。
、プログラムの詳しい内容については公表していない事業所も多いため、「実際にどのようなプログラムが提供されているの?」「プログラムごとの違いは?」と気になっている方は多いのではないでしょうか。
この記事では、就労移行支援事業所で実施されている代表的なプログラム内容や、事業所ごとのプログラム内容の違いを解説します。
就労移行支援のプログラム内容は大きく分けて6つ
就労移行支援のプログラムの内容は、大きく分けて以下の6つになります。
1.自己理解・疾病理解のプログラム
2.コミュニケーションスキル・社会的スキルを身につけるプログラム
3.ビジネススキルを身につけるプログラム
4.専門スキルを身につけるプログラム
5.就活スキルを身につけるプログラム
6.就労マッチング・職場体験実習などのプログラム
それぞれ詳しく見ていきましょう。
【1】自己理解・疾病理解のプログラム
自己理解・疾病理解のプログラムでは、自分の特性や障がいに関する知識を学び、自己をコントロールする方法を身につけます。
具体的なプログラム内容は以下の通りです。
生活管理・体調管理の方法を学ぶ
活動記録表、生活リズム記録表などを毎日つけ、その日その日の生活と体調を記録していきます。
記録することにより、自分の生活を客観的に見ることができ、体調との関連を探り、だんだんと自分の生活や体調を管理する方法を学んでいくことができます。
自分の症状や障がいについて学び、自分の取扱説明書を作る
障がい名は同じでも、特性や症状、現れ方は人それぞれ違います。
そのため、自己コントロールするには、自分のことをよく知り、自分の取扱説明書を作ることが重要です。
就労移行支援では、支援を受けながら自分の取扱説明書を作ることにより、障害者雇用の時などに役立てています。
ストレス対処の方法を学ぶ
ストレス対処法は人それぞれ違います。
支援員や他の利用者と話し合う中で、自分なりのストレス対処法を見つけることで、ストレスに対処できるようになります。
認知行動療法を学ぶ
事業所によっては、認知行動療法を学ぶところもあります。
認知行動療法とは7つの項目に答えながら認知の癖に気づく「コラム法」やセルフモニタリングを行うことで、認知の歪みの修正を修正するものです。
たとえば、今日は全く話していない人がイライラしている時に「あの人は私のせいでイライラしてるんだ」と思い自分の行動や気持ちに悪影響を及ぼしたとき、この考えをコラム法を用いて現実的で柔軟な考え方に整えていきます。
ストレスを受けてしまうのは、長年の認知のゆがみから来ていることがあるからです。
認知行動療法を学ぶことで、自分の認知のゆがみに気づき、ストレス耐性をつけることができます。
身体を動かして体力をつける
会社に通勤して働くには、体力が必要です。
病気になって今まで家で過ごしていた人は、体力が落ちている場合が多いため、身体を動かすプログラムで、働く体力を培っていきます。
【2】コミュニケーションスキル・社会的スキルを身につけるプログラム
発達障がいをお持ちの方や、職場で心を病んでしまう方は、コミュニケーションが上手くいかない場合が多いです。
そこで就労移行支援では、コミュニケーションスキルや社会的スキルをつけるプログラムを行っています。
主な内容は以下の通りです。
SST(ソーシャルスキルトレーニング)を学ぶ
SSTとは、社会生活に必要なスキルを学ぶトレーニングです。
身だしなみや自己管理、生活リズムを整える方法、金銭管理、伝え方や訊き方など様々なことを学びます。
基礎的なビジネスマナーを学ぶ
挨拶や敬語、ビジネスメールの書き方から、上司への接し方や残業の断り方、同僚との雑談まで、職場での基本的なビジネスマナーを学びます。
アンガーマネジメントを学ぶ
アンガーマネジメントとは、「怒りをコントロールする」ことです。
働いていると、様々な場面で怒りを感じることがあるかもしれませんが、その度に怒っていては、仕事が続きません。
そのため、怒りをコントロールする方法を学び、職場で怒りを感じることがあっても、上手く相手に伝えられるようにするトレーニングをします。
アサーションを学ぶ
アサーションとは、「自分も相手も尊重するコミュニケーション」のことです。
相手を攻撃せず、自分も我慢しないコミュニケーションの仕方を学ぶことで、人間関係が上手くいくようになります。
グループワークを行う
一つの課題を皆でクリアするグループワークを行うことで、チームで仕事を行う場合に備えます。
チームワークをどのように作っていけばいいのか学びます。
ダイアログなどで傾聴スキルを培う
「人の話を聴く」というのは、コミュニケーションの基本です。
ダイアログとは、人の話を否定しないで最後まで聴くプログラムです。
ダイアログで、傾聴スキルを学ぶことで、人の話をきちんと聴くことができるようになります。
ブレインストーミングを学ぶ
アイデア出し会議などで使われるブレインストーミングを学びます。
グループでブレインストーミングを行うことで、今まで思ってもいなかったようなアイディアが出ることもあります。
レクリエーションを行う
ゲーム大会やクリスマス会など、レクリエーションを皆で行うことで、円滑なコミュニケーションを学びます。
皆で楽しみながら一緒に何かをすることを通して、人間関係を改善していくプログラムです。
【3】ビジネススキルを身につけるプログラム
基礎的なPCスキルを学ぶ
PCの基礎的な操作、タイピング、Word、Excel、PowerPointなどの操作を学びます。
実務スキルを向上させるためのパソコン訓練ができます。
また、その一環として履歴書を作成することも可能です。
敬語の使い方を学ぶ
敬語は社会人の基本ですが、相手に使う尊敬語と、身内に使う謙譲語との使い分けは、案外難しいものです。
就労移行支援では、主に会社で使う敬語を学びます。
ビジネスメールの書き方を学ぶ
働き始めてもビジネスメールが足枷となってしまうことは少なくありません。
プログラムでは、ビジネスメールのマナーなどについて学びます。
電話応対や来客対応を学ぶ
会社における電話応対の基本や、「案内」「取次」などの来客対応を学びます。
適切な報連相を学ぶ
報連相(報告・連絡先・相談)は、働く上で重要です。
適切に行えるようになるために、伝え方や伝えるタイミングなどについて学んでいきます。
【4】専門スキルを身につけるプログラム
専門スキルを身につけるプログラムは、事業所によって内容が全く異なります。
ここでは、主な専門スキルを挙げています。
軽作業を行う
就労継続支援A型や、障害者雇用などでよく仕事として扱われる軽作業を行うプログラムです。
主に、郵便物の仕分けや、シール貼り、梱包などの作業があります。
IT系のスキルに特化した就労移行支援事業所も増加しています。
プログラミング・Web制作などIT系のスキルやillustrator・Photoshopなどデザインの基礎を学ぶ
プログラミング言語や、HP作成、動画編集、CADなどの専門スキルや
デザインの基礎から、デザインソフトを使った名刺やチラシやPOPの作成などを学びます。
近年では、IT系のスキルやデザイン系のスキルに特化した就労移行支援事業所も増加しています。
但し、IT系のスキルやデザイン系のスキルに特化した訓練が受けられる=IT系やデザイン系への就職が保証されているわけではないので注意が必要です。
調理を行う
カフェ併設の就労移行支援や就労継続支援があり、パンやクッキーを焼いたり、サンドウィッチを作ったり、コーヒーや紅茶を淹れるプログラムもあります。
接客を行う
カフェや販売所で接客を行い、接客の基本を学びます。
農作業を行う
地方の就労移行支援では、田んぼや畑を持っているケースが少なくありません。
都心部の就労移行支援では、千葉や神奈川の田んぼや畑で農作業を行う就労移行支援事業所もあるようです。
【5】就活スキルを身につけるプログラム
就職活動を行うスキルを身につけるプログラムもあります。
主なプログラムの内容は以下の通りです。
自己分析を行う
就職活動を行う上で、自分の強みや弱みを知っておくことは重要です。
エゴグラムなどの自己分析を行い、自分の強みや弱み、特性や性格を把握します。
企業研究をする
自分の就きたい職種の企業について、ネットなどで検索して研究します。
履歴書・職歴書を作成する
履歴書と職務経歴書は、簡単に書けるものではありません。
志望動機や自己PRなど、企業に好印象を持ってもらえるよう、支援員や他の利用者にアドバイスをもらいながら、何度も練り直します。
障がい説明書を作成する
自分の取扱説明書から、企業にわかりやすいように自分の障がいを説明する書類を作ります。
障害者雇用などで、合理的配慮を求める場合に、特に役立ちます。
面接対策をする
あらかじめ訊かれそうな質問には答えを作っておき、面接練習をしますプログラムもあります。
【6】就労マッチング・職場体験実習などのプログラム
実際に就労に直結するプログラムもあります。
主なプログラムの内容は以下の通りです。
実際にハローワークに行く
支援員に同行してもらって、ハローワークに行ってみます。
障害者専用窓口の担当職員を紹介してもらえる場合もあります。
合同面接会に行く
障害者雇用には合同面接会があります。
支援員が同行します。
職場体験実習に行く
職場体験実習を行っている企業に体験に行くことも可能です。
企業訪問をする
自分の就職を希望する企業に、支援員と一緒に訪問します。
就労移行支援事業所ごとにプログラム内容に違いはある?
就労移行支援事業所は、事業所ごとにプログラム内容が大きく違います。
それは、事業所を運営する母体に、専門分野や得意分野があり、その事業所ごとに細かいプログラム内容を決めていくからです。
そのため、以下のような違いがあります。
専門分野の違い
専門分野の違いとは、特に障がい種別において、発達障がいに特化している事業所、気分障がい(うつや双極性障害)に特化している事業所、知的障がいに特化している事業所などで違うということです。
たとえば、発達障がいに特化している事業所は、コミュニケーションスキルに力を入れていたり、気分障がいに特化している事業所は疾病理解や自己管理に力を入れていたり、知的障がいに特化している事業所は、軽作業に力を入れていたりします。
プログラムの得意分野による違い
就労移行支援には、主に一般型と専門スキル特化型とがあります。
一般型の事業所では、先に挙げたようなプログラム内容を全般的に実施していますが、専門スキル特化型では、主にIT系のスキルのみをトレーニングします。
IT系のスキルというのは、プログラミングやWeb制作、Webデザイン、動画編集、CAD、生成AIなどのことです。
専門スキル特化型では、これらのうちどれかに力を入れて、その専門スキルを伸ばすことのみに特化しています。
支援スタイルによる違い
事業所によって、個別支援重視であったり、グループワーク重視であったり、支援スタイルによってプログラムの内容が変わります。
また、大規模なところと小規模なところなど、事業所の規模によっても、プログラム内容に違いが出てきます。
就労移行支援事業所のプログラムに関するよくある質問
就労移行支援事業所のプログラムに関するよくある質問をまとめました。
参加したくないプログラムがあった時はどうすればいい?
参加したくないプログラムがあった時は、支援員に相談すれば、その時間は別のプログラムに参加したり、自習をすることができます。
ただし、就労移行支援のプログラムは、必要があって行っているものなので、支援員と一緒に参加したり、少しの時間だけ参加したりと工夫してだんだん参加できるようにしていきましょう。
プログラムの内容は自分に合わせてカスタマイズできる?
事業所によりますが、ある程度自分に合わせてカスタマイズできます。
たとえば、一般型の事業所では、たくさんのプログラムを実施しているので、その中から自分に必要なプログラムを支援員と一緒に選び、カリキュラムを組むことが可能です。
就労移行支援のプログラム内容は事業所によって異なる!まず体験に行ってみよう!
就労移行支援の全般的なプログラム内容を詳しく解説し、事業所によって内容は大きく異なることを説明してきました。
自分が何を学びたいのか、どんな職に就きたいのか、何かやりたいことがあるのかないのか、よく考えて、自分に合った事業所に通うことが重要です。
そのためには、いくつか事業所をピックアップしたら、必ず体験に行ってみましょう。
ネット上の情報だけではわからず、体験に行って初めてわかることもたくさんあります。
できれば複数の事業所に体験に行き、プログラム内容だけでなく、雰囲気や支援員との相性などもよく考慮して、事業所を選びましょう。
就労移行支援事業所サンヴィレッジは、ビジネスマナープログラムをはじめ、セルフケアプラグラムや認知行動療法に関するプログラムなど、幅広いプログラムを実施しています。
サンヴィレッジでは、「就職したらそれで終わり」ではなく「継続して働いていけること」を目標としています。
そのため、仕事に直結する内容だけではなく、自分自身としっかりと対話しながらコントロールしていくためのプログラムを行っているのが特徴の一つです。
サンヴィレッジは、兵庫県神戸市に2つ、東京都文京区に1つ、埼玉県川口市に1つ事業所があります。
「どんなプログラムをやっているのか気になる」という方は、ぜひ一度サンヴィレッジで見学・体験をしてみてください。