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お金がないけど就労移行支援に通うことは可能?実際の費用負担や利用できる制度を徹底解説

精神疾患や身体を壊して退職してしまった方で、もう一度復職するために「就労移行支援を利用したいけど、お金がないから難しいのでは?」と思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

確かに就労移行支援は前年度の収入によっては利用料がかかりますが、お金がなくても利用できる制度は数多くあります。

この記事では、就労移行支援に通うための費用負担、お金がなくても就労移行支援に通うために利用できる制度について、詳しく解説します。

就労移行支援に通うための費用負担はどれくらい?

就労移行支援を利用するために純粋にかかる費用は利用料のみですが、交通費や昼食費、資格取得にかかる費用など、付随する費用も必要になります。

それぞれの具体的な費用感を見ていきましょう。

利用料

利用料は、前年度の収入によって決定されます。

大まかな収入ごとの上限金額は以下の通りです。

世帯収入 自己負担上限額
生活保護受給世帯 0円
概ね120万円以下 0円
概ね600万円以下 月9,300円
上記以外 月37,200円
生活保護受給者世帯、住民税非課税世帯は無料で利用できますが、前年度の収入が概ね120万~600万の方は、月額上限額9,300円までかかります。

たとえば、就労移行支援に通うのが1回1,000円だとして、5回通えば5,000円そのまま請求されますが、10回通っても9,000円までしか請求されません。

前年度の収入が概ね600万以上だった方は、月額上限額が37,200円まで請求されます。

これは、仮に1回1,000円で就労移行支援を利用できる場合、20回通えば20,000円そのまま請求されるということです。

注意したいのは、利用料の上限を決める基準が「世帯収入」であるということです。

世帯収入というのは、仮に本人に全く収入がなくても、配偶者の収入が300万円以上あれば、利用料がかかることになります。

ただし、たとえ親と同世帯で同居していても、親の収入は関係ありません。

そのため、9割の利用者が無料で利用できている状況です。

交通費

家から就労移行支援に通うためには、交通費はどうしてもかかります。

しかし、たとえば東京都では、障害者手帳があれば都営交通は無料になるパスがあるなど、自治体によって無料で利用できる制度もあります。

自治体の制度などをうまく利用すれば、交通費は大してかからない可能性が高いです。

また、自治体や就労移行支援事業所によっては、交通費を補助してくれるところがあります。

サンヴィレッジでも交通費補助がありますのでご相談ください。

昼食代

就労移行支援は基本的に朝9〜10時から16時頃までなので、昼食を食べることになるます。

お弁当を作ればそれほどかかりませんが、コンビニなどで済ませようとすると500円以上程度かかってしまうことも多いです。

1回500円として単純計算すると、週5日の通所でひと月1万円程度かかることになります。

基本的に昼食代を支給されることはなく自己負担となりますが、事業所によっては昼食を作って提供してくれるところもあります。

ただし、昼食を提供している事業所はごく一部です。

基本的には昼食代はかかるものと考えておきましょう。

資格取得にかかる費用

就労移行支援に通いながら資格を取得したい方は、資格取得費用もかかります。

たとえば、MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)や、情報処理技術者試験、プログラミングの資格であるLPIC-1は、以下のような受験料がかかります。

MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト) 12,980円
情報処理技術者試験 7,500円
LPIC-1 16,500円

資格取得にかかる費用は、助成などがありません。

資格を取得する場合はどうしてもかかってしまう費用となります。

就労移行支援事業所によっては、資格取得補助制度がある場合があります。

サンヴィレッジでも、資格取得補助制度がありますのでお気軽にご相談ください。

お金がなくても就労移行支援に通うことは可能?

結論から言うと、お金がなくても就労移行支援に通うことは可能です。

なぜなら、自治体や国の制度を利用することで、費用負担を抑えることができるからです。

自治体や国の制度をうまく利用すれば、就労移行支援に通うことそのものにはそれほどお金はかかりません。

また、通所している間の生活費の面で困っているのであれば、生活費をサポートする制度もあります。

「お金がないけど就労移行支援に通いたい」という方は利用できる制度はすべて利用して、通所できるようにしていきましょう。

働きながら通所することはできる?

原則として就労移行支援に通っている間は、働いて収入を得ることはできません。

社員として働く場合はもちろん、アルバイトであっても原則認められていないのが現状です。

だからこそ、生活費や利用料などを工面できるようにしておくことが重要になります。

就労移行支援に通いたいけどお金がない…..そんな時に利用できる制度

「就労移行支援を利用したいけどお金がない」と一口に言っても、「利用料を払う余裕がない」「利用料は無料だったが昼食代や交通費を払えない」「そもそも通っている間の生活費をまかなえない」など、様々なケースがあります。

今回は、利用できる制度を以下の4つのジャンルに分けて紹介していきます。

  • ・就労移行支援そのものの利用料負担を軽減する制度
  • ・生活費をサポートする制度
  • ・通院・交通費などの費用をサポートする制
  • ・その他のサポート・相談先

具体的な制度の内容について見ていきましょう。

就労移行支援そのものの利用料負担を軽減する制度

就労移行支援で利用者が負担する割合は、サービス全体にかかった費用のうち1割で、1日あたり概ね500円〜1400円となっています。

ただし、障害福祉サービス利用料の減免制度があり、前年度の収入に応じて負担上限額が決まっているため、ほとんどの利用者が自己負担なしで利用できています。

障害福祉サービス利用料の減免制度(負担上限額制度)

就労移行支援のサービス利用料は、世帯収入に応じて月ごとの負担上限額があります。

ひと月に利用したサービス利用料の過多に関わらず、負担上限額以上が請求されることはありません。

ひと月ごとの負担上限額は、以下の通りです。

区分 世帯の収入状況 負担上限月額
生活保護 生活保護受給者世帯 0円
低所得者 市町村民税非課税世帯 0円
一般1 市町村民税課税世帯(所得割16万円未満) 9,300円
一般2 上記以外 37,200円

ただし、これは前年度の所得で判断されるため、前年度まで働いていた方や、配偶者の収入が多い方は、負担上限額が多くなる場合があります。

自治体の減免・助成制度

自治体によっては、障がい者が就労移行支援に通う場合に助成金が出る場合もあります。

たとえば、東京都世田谷区や兵庫県神戸市では「更生訓練費助成事業」として、就労移行支援または自立訓練を受けている障がい者で生活保護法による保護を受けている方、またはこれに準じる方に対し、月額1,600円または3,150円の助成金と通所経費日額280円が助成されます。

生活費をサポートする制度

就労移行支援に通っている間の生活費をサポートする制度もあります。

生活費をサポートする制度は、以下の4つです。

生活保護

生活保護は、資産もなく働くこともできない方や、働いても最低限度の生活水準に満たない方に対して、その困窮の程度に応じて、必要な額を保障される制度です。

単身で無職の場合は、月10万〜13万円の生活保護費の受給ができる可能性があります。

生活保護を受給できる条件を満たす場合は、最低限の生活費を受け取りながら通所することが可能です。

障害年金

障害年金は、働いている・働いていないに関わらず、医師の診断書があれば受給できる可能性がある制度です。

障害1級・2級と分かれており、1級だと約81,000円、2級だと月額約65,000円の支給があります。

障害年金だけでは生活するのに不十分であれば、生活保護を同時に受けることも可能です。

ただし、申請から受給決定までに2ヶ月ほどの期間を要するため、今現在生活に困っている場合は、先に生活保護を申請した方が良いでしょう。

失業給付(雇用保険)

失業給付は、労働者が失業・退職した時に、必要な給付を行うことで、再就職に向けたサポートをする制度です。

障害者手帳を持っていると、就職困難者として認定され、被保険者期間の要件が緩和されたり、所定給付日数が優遇されたりします。

手帳がなくても、精神疾患に該当する方は、医師の意見書があれば就職困難者として認定される可能性があります。

失業給付を申請するための要件は、以下の3つです。

  • 要件1:雇用保険に加入していた期間が、離職日以前の1年間で通算半年以上あること
  • 要件2:ハローワークで求職申し込みを行うこと
  • 要件3:働く意思と能力はあるが、失業している状態であること

給付日数は、年齢や雇用保険加入期間、退職理由によって異なります。

たとえば、45歳以上の場合、最長360日の給付が可能です。

失業給付の金額の目安は以下の計算式で求められます。

賃金日額(離職日の直前6ヶ月に支払われた賃金の合計÷180日)×50~80%

給付率は、低所得者ほど高く設定されています。

失業給付を申請すれば、今までの給料の5〜8割がほぼ1年間受け取れることになります。

傷病手当金

傷病手当金は、怪我や病気で4日以上仕事を休んだ場合に受給できます。

傷病手当金の支給額や支給期間は以下の通りです。

  • 支給額:直近の給料の約3分の2
  • 支給期間:支給を開始した日から通算して1年6ヶ月

ただし、障害年金を受給している場合や、会社から休職扱いとしていくらかでも給料が支給されている場合は、受給できません。

しかし、失業給付とは併用可能です。

通院・交通費などの費用をサポートする制度

精神疾患の場合は、精神科への通院費や交通費などの費用をサポートする制度もあります。

自立支援医療(精神通院医療)

精神疾患があり精神科に通院している場合は、障害者手帳がなくても医師の診断書があれば、自立支援医療を申請できます。

自立支援医療を申請すると、精神科への通院費(薬代含む)が自己負担1割になり、世帯の所得に応じて自己負担上限額が設定されます。

自治体によっては、低所得者には自己負担分を助成する制度もあり、低所得者は実質無料で医療を受けることが可能です。

障害者手帳

障害者手帳は、精神疾患の場合、統合失調症、気分障害、非定型精神病、てんかん、中毒精神病、器質性精神障害、発達障害その他に適用されます。

申請には医師の診断書が必要ですが、障害年金を受給している場合は年金証書で申請できます。

障害者手帳をもらうと、以下のような助成を受けることが可能です。

  • ・東京都や名古屋市などの公営交通が無料になる
  • ・公営美術館・博物館などが無料で入場できる
  • ・映画館、水族館、動物園などで割引が受けられる

障害者手帳を持つメリットは数多くありますが、デメリットは少ない制度となっています。

地方自治体の交通費補助

自治体によりますが、障害者手帳で東京都は都営交通が、名古屋市は地下鉄が無料になったり、バスが半額になったりします。

2025年5月からは、JRも100km以上の移動は乗車券が半額になります。

また、就労移行支援に通う交通費を助成してくれる自治体も少なくありません。

たとえば、神奈川県横浜市では、以下のような助成を行っています。

公共交通機関を使って障がい者福祉施設に通所する場合、「片道運賃×通所回数」と「6カ月の定期券代」を比べて、安い方の助成を受けられる。

その他のサポート・相談先

生活保護や障害年金を受けられず、生活費もままならないという方の最後の手段として「社会福祉協議会の貸付制度」があります。

具体的に見ていきましょう。

社会福祉協議会の貸付制度(生活福祉資金貸付制度)

生活福祉資金貸付制度は、低所得者や障害者の世帯で、社会福祉協議会から低金利で融資が受けられる制度です。

生活支援費として、原則3ヶ月間(最長12ヶ月間)、月20万円までの貸付を受けられます。

ただし、あくまで一時的な「借金」なので、この期間に就職して返還できる見込みのある人にしかおすすめできません。

就労移行支援の費用に関するよくある質問

就労移行支援の費用に関するよくある質問をまとめました。

通所している間に賃金はもらえる?

就労移行支援に通所していても、賃金は一切もらえません。

稀に、作業所のような作業を行い、わずかな工賃を出しているところもありますが、基本的に賃金は発生しません。

障害年金を受給中に就労移行支援を利用すると減額されたり停止されたりすることはある?

就労移行支援は賃金が発生しないため、就労とは認められません。

そのため、医師の診断が変わらない限り、障害年金が減額されたり停止されたりすることはありません。

どこに相談すれば自分が利用できる制度やお金のことを詳しく教えてもらえる?

就労移行支援を利用するには、計画相談員と繋がる必要があります。

相談支援専門員のいる基幹相談支援センターや、地域生活支援センター、地域包括支援センターなどに相談するとのが確実です。

お金がなくても就労移行支援に通うことは可能!利用できる制度はどんどん活用しよう!

ここまで解説したように、お金がなくても就労移行支援に通える制度はたくさん用意されています。

申請手続きが面倒なものもありますが、申請すれば経済的な不安が軽減するので、利用できる制度はどんどん活用しましょう。

就労移行支援事業所サンヴィレッジでは、一人ひとりの生活状況や背景に合わせて就労を目指していくためのサポートを行っています。

事業所は兵庫県神戸市に2つ、東京都文京区に1つ、埼玉県川口市に1つあります。

サンヴィレッジでも、就労移行支援を利用するためのお金に関する相談を受け付けております。

ぜひお気軽にご相談ください。