就労移行支援と就労定着支援の違いとは?主な目的や対象者、利用料金などにおける違いを徹底解説 就労移行支援事業所サンヴィレッジ

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就労移行支援と就労定着支援の違いとは?主な目的や対象者、利用料金などにおける違いを徹底解説

「就労移行支援」「就労定着支援」という言葉を聞いたことはあるけど、いまいち違いが分からないという方は多いのではないでしょうか。

これら2つのサービスは、障がいのある方の就職や就職後の継続的な就労を支援する障がい福祉サービスです。

どちらも「働きたい」「長く働き続けたい」と思っている方が頼れるサービスですが、目的や対象者が大きく異なります。

この記事では、就労移行支援と就労継続支援の違いを解説します。

就労移行支援と就労定着支援の違いとは?

就労移行支援と就労定着支援の主な違いは利用する目的です。

就労移行支援の目的は「障がいを抱えた人が一般就労を目指すこと」である一方で、就労定着支援の目的は「一般就労をした障がい者が継続して職場で働き続けること」になります。

どちらも障がい者総合支援法に基づく「障がい福祉サービス」に位置付けられていますが、就労移行支援は「これから就職を目指す人」、就労定着支援は「すでに就職した人」を対象としています。

他にも、以下のように利用期間や対象者、サービス内容などに大きな違いがあります。

就労移行支援 就労定着支援
目的 一般就労を目指すこと 職場に定着し、継続して働き続けること
対象者 一般企業への就職を希望する65歳未満の障がいのある方 就労移行支援、就労継続支援、生活介護、自立訓練などの障がい福祉サービスを利用して一般就労した方
利用期間 原則2年間 原則3年間
利用料金 自己負担1割(前年度の世帯収入に応じて決まる) 自己負担1割(前年度の世帯収入に応じて決まる)
サービス内容 ・職業訓練 ・就職活動 ・定着支援 ・本人との定期的な面談 ・職場との連絡・調整

就労移行支援では、職業訓練や就職活動のサポートが主なサービス内容です。

一方で、就労定着支援は、職場での困りごとの調整や心身のケアなど、就職した人が安定して働くためのフォローが中心となります。

2つのサービスはそれぞれ役割が異なるため、段階的に利用する方が多くなっています。

そもそも就労移行支援・就労定着支援って何?

就労移行支援・就労定着支援の主な特徴は以下の通りです。

就労移行支援とは

就労移行支援は、障がいのある方が一般就労に至るまでのサポートをする障がい福祉サービスす。就労移行支援では、体調や生活の自己管理や、自分の強み・弱みを知る自己理解のプログラム、コミュニケーションスキルを向上させるプログラム、就職するための基礎的なスキルやマナー、事務スキルなどを学びます。

準備が整った段階で職場実習や就職活動を行い、就職へつなげていきます。

就労定着支援とは

一方で就労定着支援は、障がいのある方が、一般就労した職場で長く安定して働き続けられるようにサポートすることを目的とした障がい福祉サービスです。

具体的には、「仕事でミスが多くて困っている」「上司や同僚と上手くコミュニケーションが取れない」「体調管理が十分にできず、勤怠が悪い」「給料をもらっても、金銭管理ができない」などの悩みを、支援員が一緒に考え、相談や助言をしたり、本人と職場との仲立ちをしたり、必要な社会資源とつないだりといったサポートをします。

就労移行支援と就労定着支援の対象者・利用期間・利用費用・サービス内容による違いは?

就労定着支援の対象者、利用期間、利用費用などの条件は、以下の通りです。

対象者

就労移行支援は就労定着支援の対象者の違いは「これから就職を目指す」か「すでに就職している」かという点です。

これから就職を目指す方は「就労移行支援」、もうすでに障がい福祉サービスを利用して就職している方は「就労定着支援」の対象者となります。

就労移行支援 ・65歳未満の方 ・障がいや難病を抱えている方 ・一般就労を目指している方
就労定着支援 ・就労移行支援、就労継続支援、生活介護、自立訓練など、何らかの障がい福祉サービスを利用して一般就労(障がい者雇用含む)をした方 ・障がいや難病を抱えている方

就労移行支援を経て就職した場合は、その事業所で引き続き就労定着支援を利用するのが一般的ですが、違う事業所の定着支援を利用することもできます。

利用期間

就労移行支援の利用期間は原則2年間です。それ以降はほとんどの場合延長することができません。

一方で、就労定着支援の利用期間は、就職後7ヶ月目から最長3年間(3年6ヶ月目まで)です。

就労移行支援、就労継続支援A型・B型、自立訓練、生活介護などを利用して就職した方は、就職後の半年間は、これまで利用していた就労移行支援事業所で就労定着支援を利用できます。

3年が過ぎても就労定着支援を利用したい場合は、就労定着支援を行う事業所が任意で継続する場合と、障がい者就労・生活支援センターに引き継がれる場合があります。

利用料金

就労移行支援・就労定着支援どちらも利用料金は、前年度の収入に応じて変わります。

基本的には1割自己負担ですが、所得制限があり、負担上限月額が決められています。

世帯収入による負担上限は以下の通りです。

世帯収入 月額負担上限額
生活保護受給世帯 0円
概ね120万円以下 0円
概ね600万円以下 9,700円
上記以外 37,200円

就労移行支援・就労定着支援ともに平均負担額がわかるデータは存在しませんが、1年目はほとんどの方が0円で利用しています。

ただし、前年度の収入で利用料が決定するため、定着支援の場合は2年目以降に利用料がかかることがあるため注意が必要です。

利用料が発生する場合でも就職先の企業の負担は一切なく、利用者本人が負担することになります。

サービス内容

就労移行支援と就労定着支援のサービス内容における大きな違いは、就労に向けた訓練を行うかどうかという点にあります。

具体的なサービス内容を以下の表にまとめました。

サービス内容 具体的に行うことの一例
就労移行支援 ・本人との定期的な面談 ・職場との連絡・調整 ・仕事上の困りごとの調整 ・生活上の困りごとの調整
就労継続支援 ・職業訓練 ・就職活動 ・定着支援 ・パソコン訓練 ・ピッキング作業 ・各種プログラム ・履歴書の作成 ・面接練習 ・企業実習・職場体験

就労移行支援の目的は一般就労を目指すことにあるため、パソコン訓練やピッキングの練習、コミュニケーションスキルを磨くためのプログラムを行っています。

一方で、就労定着支援ではすでに就労している方を支援するため、主に仕事面や生活面での困りごとを聞き、継続して就労できるようにサポートしています。

就労移行支援・就労定着支援以外に利用できる就労支援

就労移行支援と就労定着支援の他にも、障がい者雇用や一般雇用までのサポートをしてくれる制度や機関が存在します。

その制度や機関とは以下のようなものです。

  • ・就労継続支援A型・B型
  • ・ハローワーク(公共職業安定所)
  • ・地域障がい者職業センター
  • ・障がい者就業・生活支援センター
  • ・ジョブコーチ
  • ・公的職業訓練
  • ・若者サポートステーション(サポステ)

それぞれのサービスについて詳しく見ていきましょう。

就労継続支援A型・B型

就労継続支援A型・B型は、一般企業で働くのが難しい方が、支援を受けながら体調に合わせて働いたり、次のステップにつなげたりするためのサービスです。

A型は事業所と雇用契約を結ぶ形で働くため、最低賃金が適用されます。

一般就労が難しい場合でも雇用されることで、働く経験やスキルを身に付けられるのが特徴です。

一方でB型は雇用契約を結ばず、作業に応じて工賃が支払われる仕組みです。

A型よりも柔軟な働き方をしながら、就労に向けた訓練を積むことができます。

支援員のサポートを受けながら継続して働きたい方におすすめのサービスです。

ハローワーク(公共職業安定所)

ハローワークは、求職者と求人事業主を結ぶための様々なサービスを提供する機関です。

ハローワークには、障がいのある方を対象とした専門窓口や就労支援プログラムが用意されています。

求人の紹介や応募手続きだけでなく、トライアル雇用や職場適応指導など、障がい者雇用に特化した制度を活用することが可能です。

地域障がい者職業センター

地域障がい者職業センターは、独立行政法人高齢・障がい・求職者雇用支援機構(JEED)が運営する機関です。

職業リハビリテーションやジョブコーチ派遣などを通じて、障がいのある方が働きやすい環境を整えるサポートを行っています。

企業への助言や仲介も担うため、安定的な就労につなげたいときにぴったりのサービスです。

障がい者就業・生活支援センター

障がい者就業・生活支援センターは、障がい者が職場に定着するための支援を行っている機関です。

就活や職場定着に向けた支援だけでなく、生活面での相談やアドバイス、地域の福祉サービスとの連携なども行っています。

「地元で働きたい」と考えてる方など地域密着型の支援を望む方には特におすすめです。

ジョブコーチ

ジョブコーチは、「職場適応援助者」と呼ばれる専門スタッフを企業に派遣し、障がいのある方が職場にスムーズに馴染めるようサポートする仕組みです。

働き始めてからしばらくの間、実際の仕事現場に同行しながら業務内容をわかりやすく説明したり、一緒に働く従業員に障がい特性を理解してもらうための説明をしたりします。

職場の仕事内容や人間関係に適応できないと感じている方におすすめのサービスです。

公的職業訓練(ハロートレーニング)

公的職業訓練は、国や都道府県が実施する職業能力開発校などで受講できる職業訓練を指します。

障がい者向けのコースが用意されている場合もあり、カリキュラムや設備の面で配慮が行き届いているのが特徴です。

条件を満たせば手当や交通費が支給される場合があります。

6〜8時間の講習を継続して受講する必要があるため、体調が安定していることが必須です。

一方で、健常者と同様のスキルを身につけることができるため、就職の武器となるものを身につけたい方にはおすすめできる公的制度です。

若者サポートステーション(サポステ)

若者サポートステーション(サポステ)は、原則15歳〜49歳までの方を対象に、就労に向けた支援を行うための機関です。

「「働きたいけど、どうしたらいいのかわからない…」という方向けに、コミュニケーション講座や職業体験、就活セミナーなどを実施しています。

「働きたいけどこれからどう行動すればいいかわからない」という方におすすめの機関です。

就労移行支援・就労定着支援に関するよくある質問

就労移行支援・就労定着支援に関するよくある質問をまとめました。

就労移行支援と就労定着支援は同時に利用できる?

就労移行支援を利用している段階で就職が決まれば、その後に就労定着支援へ移行するという流れが一般的です。

そのため、同時に利用するというよりも、連続して利用するイメージになります。

就労移行支援を利用して就職したあとは絶対に就労定着支援を利用しないといけないの?

就労移行支援で就職したあとは必ずしも就労定着支援を利用しなければいけないわけではありません。

自分自身で問題を解決していけそうな場合は、就労定着支援を利用しないという選択肢もあります。

ただし、就職後に困りごとが発生した場合はその時点で就労定着支援の利用を申請することも可能です。

就労移行支援で就職したあとに就労定着支援を利用するにはどうすればいい?

まずは、就労移行支援を提供している事業所が就労定着支援も行っているかを確認しましょう。

就労移行支援を利用した事業所が定着支援を実施していれば、スムーズに移行することができます。

もしも別の事業所を利用したい場合は、自治体の障がい福祉課に相談し、事務所の探し方や手続き方法を確認しましょう。

就職後に休職してしまったら就労定着支援は利用できない?

就職後に休職しても、雇用関係が継続していれば就労定着支援を利用できる場合があります。

しかし、事業所や自治体の判断次第では「労働の実態がない」とみなされることも少なくありません。

そのため、まずは事業所の支援員や自治体の障がい福祉課に相談しましょう。

就労移行支援と就労定着支援は利用するタイミングが異なる!

就労移行支援と就労定着支援は、「就職前に利用する支援(就労移行支援)」と「就職後に利用する支援(就労定着支援)」という点に違いがあります。

それぞれの利用条件やサービス内容を正しく理解し、自分がどの段階にいて、どのような支援を必要としているのかを整理することが大切です。

就労移行支援事業所「サンヴィレッジ」では、就労移行支援だけではなく、就労定着支援によるサポートも行っています。

就労定着支援では、職場訪問面談や電話・メールでのサポートをOB・OG会を実施。

働く上での悩みを相談できる体制をつくっています。

「就労移行支援や就労定着支援について興味がある」という方は、お気軽にサンヴィレッジまでご相談ください。